「和」の大切さ
私はいま、世界情勢の上からも、「和」ということを非常に大事にしなければならないときではないかと感ずるのであります。
「和」の精神というものは、仏教で教えて頂いている「柔和」、いわばとても柔らかなものであり、固定的でなく融通無碍なものです。それは、私たちのいのちの根本・根源は同じところからきている、という自覚から生まれます。人間だけでなく、一切の生きとし生けるもの、もっと大きく言えば、宇宙の一切合切の根源は同じである。そうした規模の真理というものをしっかり把握した人にして初めて、本当の意味が分からせて頂けるものではないかと思います。
私たちは、ただ単に対立関係の発想、相対的な発想の中で、なかなか本当の意味での「和」ということを実現できません。しかし、宗教的な立場に立って、いのちの根源は一つであるということに気づくことを通して、「和」というものを取り戻すことができるのです。
日本では、聖徳太子が『和を以て貴しと為す』とおっしゃっているわけであります。その精神というものは、日本だけでなく、いまの世界全体にとって大事なことであると受け取らせて頂くのです。そのことを、私たちが本当に真剣になって追求し、また把握をして、世界に向けて「和」の大切さを大いに伝道していかなければならない。皆さま方と共々に、「和」を取り戻すという精神で精進をさせて頂きたいと念願しております。
『佼成新聞』より