今日のことば

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油を圧す殃

立正佼成会を始めたときに恩師の新井助信先生が、「いっぺんに油をたくさん採ろうとして、万力で一挙に菜種を押しつぶすようなことをしてはいけませんよ」と、アドバイスしてくださいました。これは「陀羅尼品」に出てくる「油を圧(お)す殃(つみ)」の教えです。ゆっくり時間をかけて搾らないと、よい油はできないのですね。

人も同じで、自分の理論はぜったいに間違いがないのだから、みんなを同調させなくては、とあせりすぎると、こちらの本意が伝わりません。自分だけ孤立することになってしまいます。

人が十人いれば、考え方も十色です。自分の考えを分かってくれないと腹を立てるほうがおかしいのですが、「自分は正しいことをしているのだ、善いことをしているのだ」と思い込むと、同調しない人が許せなくなってしまうのです。

本当に納得していない人を無理やり引っ張っていこうとしても、カラ回りするだけです。回り道にみえても、一人ひとりに心から納得してもらったほうが、結局は早道です。そうした地道な努力を積み重ねてきたことで佼成会の今日があることを忘れてはなりません。

庭野日敬著『開祖随感』より