今日のことば

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本音で話す人

瀬戸内寂聴さんとは以前に対談をさせてもらって、仏教を分かりやすく話される方だと感心したものですが、その話し上手の瀬戸内さんでも、講演などでみなさんがいちばん熱心に聞いてくださるのは、自分がどうして出家するようになったかという話だそうです。「整然と仏教の法門を説かなくては権威がなくなって法が立たない」などと考えすぎて理屈だけで法門を説いたり、人さまからの借り物の言葉で教えを説いても、聞く人の腹にしみわたりません。

自分がどうしてご法に導かれるようになったのかを、ありのままに話させてもらうと、だれもが自分が抱えている悩みにあてはめて、ご法の大切さを分かってくださるのです。そうして赤裸々に自分を懺悔することができるようになるのには、ありのままに自分を見つめる正直さ、真摯さが必要で、その真摯さが人の胸をうつのです。

「この人は嘘も駆け引きもない本音を話される人だ」と信じてしまうと、その人の前では自分をさらけだして話せるようになるのですね。みなさんが洗いざらい懺悔せずにいられなくなるような、そういう人にならないと人は救えないのです。

庭野日敬著『開祖随感』より