「一食(いちじき)研修ツアー」カンボジアコース同行レポート
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「一食(いちじき)研修ツアー」カンボジアコースの一行10人(団長・岩崎隆一高鍋教会長)が4月28日から5月5日まで、同国を訪れました。同研修ツアーは、立正佼成会一食平和基金の支援先を訪問し、「一食を捧(ささ)げる運動」への理解を深め、一層の推進に向け決意を新たにすることを目的としたものです。同国では、SVA(シャンティ国際ボランティア会)の受け入れのもと、同国の現状に触れるとともに、同基金の支援プロジェクトの実施状況や成果を視察。また、SVA独自の活動も見学しました。ツアーの様子をリポートします。 |
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仏教の復興は内戦終結後のカンボジアにとって最重要課題といわれる。「一食を捧げる運動」の浄財によって「カンボジア国立仏教研究所」が再建され、経典や仏教書などの印刷物が発刊されている |
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カンボジアは本来、豊かな自然に恵まれた国と言われる。しかし、ベトナム戦争の影響を受け、内戦が勃発(ぼつぱつ)。1975年に独裁者ポル・ポトが政権を握ると、都市居住者を農村に強制移住させるなど極端な政策がとられた。その過程で、各業種の専門家、教師、僧侶など多くの知識人が虐殺され、犠牲者数は100万とも、200万ともいわれる。 79年にポル・ポト政権が崩壊したあとも戦火は続き、難民が発生し国は疲弊。地雷が各地に残るなど内戦の傷あとが今も市民の生活に大きな影響を及ぼしている。 4月29日、一行は首都プノンペンにあるトゥル・チェイ・スラムを訪れ、SVAが運営する「移動図書館」を見学した。スラムの住民の多くは、苦しい生活から脱したいと、地方から職を求めてきたが、仕事を得られないままこの地に身を寄せた。不法居住者であるため、土地の所有者や警察によって住居を壊され、強制的に退去させられるという恐怖心が常にある。こうした中、多くの子供たちは、学校に通うこともできず、近くの不衛生なゴミ集積所で換金できる金属やペットボトルを拾って家計を支えている。 SVAは子供たちの識字力を高め、豊かな想像力を養い、将来に希望を持てるようにと長年「移動図書館」活動に取り組んできた。同市内にある700カ所のスラムのうち、現在、20カ所で活動を行っている。 現地スタッフのサヴィー・ステラさん(26)は「スラムで生まれた子供たちはスラム以外の世界をほとんど知りません。子供たちが広い世界に目を向け、明るい将来が開けるよう願って活動を続けています」と話した。
このあと、一行は、2002年に本会一食平和基金の支援によって完成した「カンボジア国立仏教研究所」を訪れた。同国では9割以上の国民が国教である仏教を信仰する。しかし、ポル・ポト政権下の焚書(ふんしよ)政策で、99%の仏教書などが焼き捨てられ、約6万人いた僧侶は強制労働や惨殺により、数千人に激減。文化を守り、文学、言語、仏教の研究、出版、教育の普及を目的に設立されたカンボジア国立仏教研究所は破壊された。 本会はカンボジア仏教の復興を願い、宗教省、SVAの要請を受けて、1995年に同研究所再建に向けた支援を開始し、同基金から延べ1億2400万円の建設費が拠出された。また、仏教経典などクメール語書籍の復刻のため、SVA、WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会、本会から、総額1億円を超える支援が行われた。 現在、同研究所は、印刷室、図書館などが完備され、僧侶だけでなく、国内外の研究者にも開放され、仏教の復興が進められている。同国宗教省顧問も務めた、SVAの同国事務所副所長・文化事業課調整員のイー・トン氏(65)は「カンボジアの平和構築には寺院、僧侶がさまざまな活動を善導する役割を果たしていくことが重要です。カンボジアの貧困克服とともに、カンボジア人が世界の問題に目を向けられるように活動していきたい」と述べた。
午後からは、同市内にある「キリング・フィールド」を訪れ、敷地内の「慰霊塔」前で慰霊供養を行った。ここはポル・ポト政権時代に大量虐殺が行われた刑場跡地。129カ所の囚人が埋められた壕(ごう)が発見され、これまで86カ所の発掘作業で、8985柱の人骨が見つかっている。今も跡地では、土から白い骨がのぞく。同国と世界の平和を願う会員たちの読経の声が刑場跡に響いた。 その後、「日本カンボジア友好職業訓練センター」を訪問。同センターは92年、印刷、縫製の職業訓練を目的に、郵政省ボランティア貯金(当時)などの援助で建設され、印刷機などが配備された。開設時、本会でも会員らに協力を呼びかけ、足踏み式のミシン約50台を寄贈した。現在も大切に使われている。 同センター所長のキム・ソワンさん(56)は、「最近の調査で、センターを卒業した生徒たちが自分のお店を開くなど、しっかりと社会で自立していることが分かり、うれしく思います。これからも、多くの技術者を育て、国の発展に力を注ぎたい」と力強く語った。
翌30日、スヴァイリエン州に移動。クロール・コー寺院を訪れ、昨年から一食平和基金の支援事業としてSVAが進める苗木育成のプロジェクトを視察した。昨年は、ユーカリ、カレン、コキなど1万592本の苗木が育てられ、他の寺院や公共施設に2984本が配布された。内戦の影響で多くの森や街路樹が失われた同国にとり、植樹は森林に依存する人々の生活向上や地域の復興に大きな意味を持つ。木々が大地に根を張ることで地盤は安定し、木陰は休息場所になるなど副次的な効果も期待される。 苗木園では社会貢献に力を注ぐ「開発僧」と呼ばれる僧侶が、村人と力を合わせて苗木を管理。復興のために地道な取り組みが続く。 5月2日、一行はコンポントム州で開催された「カンボジア文化・伝統の保存についてのワークショップ」(主催=同州文化・芸術局、宗教局、教育・青年スポーツ局)に出席した。このワークショップにも「一食を捧げる運動」の浄財が役立てられている。 また、05年から、スヴァイリエン州、プレイヴェン州での「伝統音楽と踊りの保存のための研修会」とカンポット、シェムリアップなど6州での「文化遺産と自然保護のための研修会」の開催に対し、毎年600万円を支援。内戦やポル・ポト政権の弾圧によって失われた伝統文化・自然環境の復興、保護に役立てられてきた。当日は、コンポントム州の僧侶、宗教局、文化局職員、教師を志す学生ら700人が、自国の伝統文化とその保存の大切さについて熱心に学んだ。 カンボジアの復興を願って続けられてきた一食平和基金からの支援。SVAの同国事務所長・磯部正広さん(44)は「以前は各自の役割だけで手いっぱいだった現地スタッフが、活動を通して、今は互いがいたわり、支え合えるようになりました。彼らは、この活動に大きな誇りと意義を見いだしているのです。10年、20年後のカンボジアを見通した立正佼成会のご支援に心から感謝申し上げます」と語った。
【参加者の感想】 O.Tさん(18) 「現地スタッフの方から国籍や宗教の違いを認めつつ、同じ地球人だと見ていく大切さを教えられ、すべての人が救われてほしいという願いをこれまで以上に強くしました。今まで『一食を捧げる運動』に参加する中で、どこまで相手のことを考えて取り組んでいたか省みることができました。カンボジアの人たちの笑顔、スタッフの方たちの平和を願う心に触れ、同じ思いを共有していきたいと感じています。積極的に『一食を捧げる運動』を広めていきます」
M.Nさん(56) 「『一食平和基金』の支援がカンボジアの伝統文化や、仏教の復興など、人々の心の支えとなるものに使われていることに大変うれしく思いました。また、SVAの方々は、教育支援や植林活動を地道に続けるなど、カンボジアの将来に希望をもたらそうとされています。復興に取り組むカンボジアの人々やSVAの方と出会い、世界には平和を願い、その実現に向けて活動する人がたくさんいることを改めて教えて頂きました。私は日本で、できることを精いっぱいさせて頂きます」 |
(2008.06.13記載)
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