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亡夫の思い継いで散髪奉仕をする熊谷教会の塚本さん


塚本さん=熊谷教会=は、亡き夫の遺志を継ぎ、埼玉県加須市にある介護付老人ホーム「さいたま妙松苑」(西村榮雄(よしお)苑長)で散髪奉仕に励んでいます。塚本さんが心がけるのは一人ひとりの思いに寄り添う触れ合いです。入苑者は2カ月に一度の散髪奉仕を心待ちにしています。

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同苑内に設けられた理髪室で、塚本さんは3種類のはさみを巧みに操り、手際よく散髪していきます。最近の出来事や家族の話などをする人には良き話し相手となり、また鏡をじっと見つめる人には必要以上に話しかけず、静かにはさみを動かします。「皆さんに快適な時間を過ごして頂きたい」と話します。
散髪希望者は毎回10人から15人。車イスを利用する入苑者が多く、中腰のままで散髪するなど、塚本さんの体にかかる負担は少なくありません。だが、入苑者から「塚本さんの仕上げる髪形が気に入っているよ」「毎月来てくれないかな」と言葉をかけられるたびに、喜びが込み上げます。「私を必要としてくれる人のために、体の続く限りさせて頂きたい」。
散髪奉仕を始めたのは7年前。当時、同苑の職員だった佐藤さん=熊谷教会=からの依頼がきっかけでした。理髪店を営み、地域で散髪奉仕を続けていた塚本さんと夫は、その申し出を快諾しました。
同苑が改装工事中だった2年前、夫は急性白血病を患い69歳で他界。その数カ月後、リニューアルオープンに際して塚本さんは同苑からの依頼を受け、夫の遺志を継ぎ、再び散髪奉仕を始めました。
その後、ホームヘルパー3級の資格を取得。「以前は、認知症で何度も同じ言葉を繰り返す入苑者に、否定的な言葉を返してしまったこともありました。介護を学び、相手の思いをそのまま受け入れることで、相手が安心してくれるのだと知りました」。
同じ理髪店で働く息子夫婦も、塚本さんや生前の夫の姿に感化され、地域で散髪奉仕を行うようになりました。「人さまに尽くす喜びを、子どもたちも感じてくれることがうれしい」と塚本さんは幸せをかみしめています。
「入苑者から『ありがとう』と言われるのが何よりの喜びであり、原動力です。天国の夫もきっと喜んでくれていると思います」と塚本さんは語っています。

(2009.03.06記載)