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「一食支援の現場から」エチオピア現地リポート
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立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会の事務局スタッフがこのほど、エチオピア北部のティグレ州を訪れ、同基金が現地NGO(非政府機関)のREST(ティグレ救援協会)と合同で進めている植林事業と「アフリカへ毛布をおくる運動」の配布状況を視察しました。植林事業を中心に視察の様子や活動の成果を紹介します。 |
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「こんなに大きくなりました!」。6年前、30センチほどだったユーカリの苗木は、住民の努力によって3メートルにまで成長した(アディモ・ファルス地区) |
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戦争と無計画な伐採で荒野に ティグレ州の州都メケレの南西60キロに位置するセハーティ・サムレ村。土と岩肌がむき出しになった褐色の景色が広がり、緑はといえば周囲の山々に点在する低木が目につくほどだ。 かつて国土の40%が森林で覆われていたといわれるエチオピア。1975年以降17年間に及ぶ内戦、加えて、エチオピアからの独立を目指したエリトリアとの紛争で土地は荒廃した。また森林は、燃料の確保を目的に、住民たちにより無計画に伐採された。 さらに、80年代には度重なる干ばつに見舞われ、国土の大半が荒野となった。現在も水資源に乏しい状況は続き、深刻な問題となっている。 このような背景から、本会一食平和基金は93年、RESTと合同で植林事業を開始した。セハーティ・サムレ村内5カ所に苗床を設け、荒地でも根付く植生の苗木を育成している。これまでに、同村内の10地区に約1400万本の苗木が植えられた。
住民の主体性を重視した支援 マイ・ツァダカン地区では3年前から植林が進められてきた。山肌に多くの石が転がる山道を登ると、緑の葉をつけた低木が根を張り、その周りには茶色い草が茂っていた。 「ここはかつて、岩だらけで特に荒廃したエリアでした」。そう語るのはRESTの植林専門家ファンタイ・アセファさん(27)。 1年目に植えた苗木はほとんど育たなかったという。乾燥した土地では、植えた苗木が必ず根付くとは限らない。その年の降雨量や土壌と苗木の相性によって失敗に終わるケースも少なくなく、毎年、苗木の種類を変えるといった試行錯誤が繰り返されてきた。忍耐と根気を要する取り組みだ。 この地区には、土地の保水力を高めるサスパーニャや建築資材となるドトーニャ、オーリアなど3万本の苗木が植えられた。 「2年、3年と繰り返すことでようやく苗木が根付き、その根が土留めとなって表土流失を防ぎ、土の保水力が高まりました。年を追うごとに成果が上がっています」と説明した。 RESTでは、住民の主体性を重視した支援を心がけている。同地区では、RESTのサポートのもと、植林作業や土地の管理は住民自身の手で進められている。そうでなければ、真の復興につながらないと考えるからだ。 住民たちの努力によって今、植林した75%の樹木が根を張り、土地の保水力が高まった。それにより、住民が掘削した井戸から水がわき出るようになった。その井戸は、近隣の地区に住む人々も利用でき、多くの住民に安全な水を提供している。 同地区の住民で土地の管理責任者を務めるタスファイ・ヌグスさん(40)は、「植林によってたくさんの恩恵を受けています」と喜びの輪が広がっている様子を紹介。「いくら掘っても水が出なかったこの土地に井戸ができたことは大きな喜びです。本当に素晴らしい。この土地をこれからも、みんなで大切に守っていきます」と決意を語った。
苗木を育て管理に皆が力を注ぐ このあと、03年から植林が開始されたアディモ・ファルス地区を訪問した。ここでは当初、「荒れた土地に苗を植えたところで何も変わらない」と住民たちから声が上がっていた。しかし、本会会員を含む日本からのボランティア隊の存在が、変革の機縁となった。 アケザ・カベテさん(36)は、「家族や友人、仕事を置いて私たちのためにここまで来てくれた。そして、一生懸命に苗を植えてくれる姿に励まされました」と当時を振り返る。 「苗木を育て、守っていく」。ボランティア隊と交わした約束を守り、住民たちはその後、野生動物に植えたばかりの苗木を食べられないよう石垣を設けるなどして苗木や土地の管理に力を注いだ。30センチ程度だったユーカリの苗木は6年の月日を経て3メートル近くまで育ち、保水力が高まったことにより岩場だった土地に草が生い茂った。 今、その草は住民たちの管理のもと、家畜の餌として分配されている。「家畜に十分な餌を与えられることで乳牛から取れるミルクの量が増え、雄牛も肉付きがよくなって収入が増えました。そのおかげで、私の家では6人の子供たちに文房具を買うことができました」とアケザさん。「日本の皆さんの姿を通して、挑戦していく大切さ、自分たちの手で状況を変えられることを知りました。今は未来への希望が持てるようになりました。ここでの取り組みは成功しています」と語り、物心両面からの支援に心からの謝意を表した。
伝わる真心 祈り合う幸せ RESTは、植林事業のほかにも貧困の削減を目指し、食糧支援や職業訓練などの活動を行っている。その中で大きな役割を果たしているのが「アフリカへ毛布をおくる運動」だ。毛布は貧困層の中でも特に貧しく、高齢者や障害者、孤児といった弱い立場にある人々にRESTを通じて配布されている。 これまでに50万枚を超える毛布が日本から届けられ、寒暖の差が激しい地域に住む人々の生活を支えてきた。 昨年の配布で毛布を受け取った村人の家を訪問した。6畳ほどの広さの石造りの家。電気は通じていない。真っ暗な室内ではブルナッシュさん(60)が毛布にくるまっていた。「病気をしてから働くことができなくなり、RESTの食糧配給支援も受けています。毛布を頂く前は薄い布をかけて寝ていましたが、とても寒かった。今は毛布があるので安心して眠れます」と喜びを語った。 RESTのスタッフが、毛布に縫い付けられた英語のメッセージを指差し「みちこさんから届いた毛布だね」と伝えると、ブルナッシュさんは「みちこさんに伝えてください。あなたの幸せを祈ります。素晴らしい人生を送られますように」と言って瞑目(めいもく)した。 毛布配布担当者のマコーネン・アブラハさん(42)は言う。「皆さんの真心が伝わり、毛布を受け取った住民たちはとても喜んでいます。ある女性は、『今でも4人の子供は、毛布に一緒にくるまって寝ている』と教えてくれました。その女性が毛布を受け取ったのは6年前です。一枚の毛布を家族みんなが大切に使っています」。 今回の視察は3日間にわたって行われた。各地で話を聞いた住民たちは皆、会話の最後にこう言った。「皆さんの幸せを祈ります」。遠く離れた日本とエチオピア。植林と毛布の取り組みを介して、互いのために祈り合う心のつながりを感じた。 |
(2009.07.03記載)
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