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「人と人との付き合い方」縁起観

 お釈迦さまは、いまから二千五百年前、インドのブッダガヤで、永遠不滅(ふめつ)の真理を悟られました。この悟られた真理の根本となる教えが『縁起』『三法印(さんぽういん)』『八正道(はっしょうどう)』『六波羅蜜(ろくはらみつ)』など、根本仏教といわれるものです。

 お釈迦さまの教えは、いつでも、どこでも、誰にでも当てはまるものであり、教えを日常生活に生かしていけば、毎日を前向きに生きることができ、私たちをより幸せな人生へと導いてくれます。

人は、どのようにしたら、よりよい生き方ができるでしょうか。

縁起の法とは

 お釈迦さまは、生きること、老いること、病にかかること、死ぬことへの不安を解決する方法を求めて出家しました。そして、この大宇宙に存在するすべてのものごとは、神がつくったとか、神が支配しているということではなく、すべてのものごとは「縁起」によって生じ、変化し、消滅するという真理を悟られたのです。「縁起」とは因縁(いんねん)であり、(いん)(えん)()(ほう)ということです。

 この世に存在するすべてのものごとには、原因(因)があり、それが何かの条件(縁)に合って、さまざまな結果(果)として現われます。そして、その果は、必ず何らかの影響をおよぼします(報)。これを『縁起観』、『縁起の法』といいます。

たとえば、右手を因とし、左手を縁とします。手をたたいてみましょう。合わさるとパチンと音が出ます(果)。その音は周囲に響きわたりますね(報)。もちろん、右手(因)と左手(縁)が合わさらないと音は出ません。つまり、「因」と「縁」が和合して、「果報」となるわけです。

 物事の法則だけでなく、私たちは日頃から、いろんな自分とも出合っています。“もっともっと”と欲張りになったり、“こうあらねばならない“と固執したり、悲しんでいる人がいたら「大丈夫?」と声をかけるやさしい自分だったり。いろんな縁との出合いによって、さまざまな自分を発揮しています。

善いことを発揮している自分とだけ出合いたい、嫌だなと思うこととは出合いたくないと、どれだけ願っても人生は思い通りにはなりません。

 すべてのものは、因と縁が関係し合い、お互いに助け合いながら存在しているのです。縁と出合う、縁を結ぶとは、たくさんの課題を抱えることです。その課題を見て見ぬふりせず、いついかなるときも「相手が変わるのを望むのではなく、自分から変わっていこう」「変化を待つのではなく、自分から行動していこう」ということが大切だと、教えてくださっています。

縁起の法の活用

 みなさんは日ごろ、友達や両親、まわりの人たちとの付き合い方でなかなかうまくいかないなあ…と思ったことはありますか?『縁起(えんぎ)観(かん)』は実際に家庭や学校、部活など、みんなの生活のなかで活用することで、よりよい人間関係を築くことができる魔法の教えです。

 特に、友だちとの人間関係や両親とのふれ合いなど、人と付き合うときに大いに活用できます。

 では、どのように活用すればいいのでしょうか。

 ものごとは因と縁が出会うことによって起こり、関係しつつ変化します。それは、「自分自身のふれあい方次第で、未来はどうにでも変えることができる」ということです。

 因と縁が出会い、果報として現れるわけですから、「縁起」に善いも悪いもありません。心がザワザワすることなく、安定した楽しい日々を送っていることも、悩みに押しつぶされそうな日々を過ごしていることも「縁起の法」の現れなのです。

 安定した日々に“ありがたい”と感謝出来たらとても素晴らしいことです。しかし、普段生活をしている中で、嬉しいときや友だちとの関係が良好なときは、人との付き合い方に悩むこともなければ、深く考えることなんてないでしょう。人間関係で苦しいとき、辛いとき、悩んでいるとき、そうなってはじめて、“こんなときどうしたらよいのだろう”と上手な関わり方を知りたくなるのではないでしょうか。

 例えば、友だちとケンカをしたとき、自分も悪いところがあったかもしれないけど、アイツも悪いと相手を指してみたり、なんで私の話を聞いてくれないんだ、と怒ってみたりすることはないですか?

 ケンカをしてしまうのも「縁起の法」です。わかってくれ!との気持ちで出合っていくのも「縁起の法」。

 いくら、“お前が先に謝れよ”、“私の話を聞けよ”と相手に要求しても、自分の思うようには物事は変化していきません。これだけ伝えているのに“なんでアイツは変わらないんだ”と余計に苦しくなりいつもイライラした自分でいることになります。

 そんな生き方はもったいない!

 “自分から”素直になって謝ってみる努力、自分の気持ちを押し付けるのではなく、“まずは”相手の話・言い分を聞いてみようと、一歩引く努力。そのような「自分を変える努力」をすることがとても大切なことです。

 そのような努力をしていくと、悪い縁だけではなく、どんな条件や相手に出合っても、自分にふさわしい縁なんだと受け止められ、「自分次第!」と、その縁に対して出合い方を変えていけるようになるのです。

そうすると、余裕がなくいつもイライラすることも、「どうせわかってもらえない」とモヤモヤすることもなくなり、本来持っている“私らしさ”に気が付いたり、発揮できる自分がきっと見えてきます。それが、よりよい生き方になるのだと思います。

まとめ

  • この世のすべての現象は、縁起の法のごとく展開していることを自覚する

  • 因と縁が出会い、それにふさわしい結果が生じるのですから、因が変わり、縁が変われば果報も変わる。「相手を変えよう」というのではなく、自分を変えていく努力こそが大切です

  • 自分が真心をもって、よい縁となっていけば、どんな人と出会ってもすばらしいふれ合いができます