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「悩みの解決法」四諦の法門

 お釈迦さまは、いまから二千五百年前、インドのブッダガヤで、永遠不滅(ふめつ)の真理を悟られました。この悟られた真理の根本となる教えが『縁起』『三法印(さんぽういん)』『八正道(はっしょうどう)』『六波羅蜜(ろくはらみつ)』など、根本仏教といわれるものです。

 お釈迦さまの教えは、いつでも、どこでも、誰にでも当てはまるものであり、教えを日常生活に生かしていけば、毎日を前向きに生きることができ、私たちをより幸せな人生へと導いてくれます。

人は、どのようにしたら、よりよい生き方ができるでしょうか。

四諦とは

 お中高校生年代は、心も身体も急激に発達します。それにともない、仲間や集団における自分自身のポジション、異性との問題など、さまざまな悩みを抱える年代です。私たちの人生は、楽しいことやうれしいことばかりとは限りません。嫌なことや苦しいこと、心配事や悩み事などが次々と起こってきます。
 それらの悩みを解決する“方程式”が『四諦(したい)』の法門です。
『四諦』の法門とは、私たちが日常の生活において直面する苦しみや悩みを根本的に解決して、絶対的安穏の境地を得るプロセスと実践法を示す法門で、『四諦』とは「苦諦(くたい)」「集諦(しったい)」「滅諦(めったい)」「道諦(どうたい)」の四つの悟りを指しています。「諦」とは、「あきらめること」ではなく、真理、あるいは明らかにするという意味で、悩みや苦しみに関する四つの明らかなことを指しています。

苦諦:人生、思い通りにいかない

仏教には「四苦八苦」という言葉があります。

□生まれる苦しみ

□老いる苦しみ

□病を患う苦しみ

□死ぬ苦しみ

□嫌いな人と出会う苦しみ(愛別離苦(あいべつりく)

□大切な人と別れる苦しみ(怨憎会苦(おんぞうえく)

□欲しくても手に入らない苦しみ(求不得苦(ぐふとっく)

□肉体的・精神的な苦しみ(五陰盛苦(ごおんじょうく)

 人生には悲しいこと、思いどおりにならないことがたくさんあります。自分の思った通りに物事が進んだら気分がいいし、やる気もでます。しかし、いつまでも同じ状態が続く保証はどこにもありません。条件や相手によって、さまざまに変化していくのが人生です。むしろ、思い通りにならないことの方が多いのではないでしょうか。
 そんな時、“早くこの苦しみから解放されたい!”“どうしたら苦から逃れられるのか”と、逃げる心が湧きませんか?ですが、逃げても逃げても何の解決にもならない。解決しないどころか、新たな苦しみまで生じてしまいます。
 ですから、苦しみから逃げ隠れせず、自分が何に苦しみ、何に悩んでいるのかを、しっかりと自覚することが大切なのです。

●考えてみよう! 試験勉強頑張ったのに、あんまりいい結果が出なかったなぁ…

集諦:何事にも原因がある

 悩みごと、苦しいことがあると、気分転換をしたくなります。カラオケに行って大声で歌ってすっきりしたり、甘いものを食べて幸せな気分を味わったり、友だちとたくさん話をしたり、趣味に熱中することも、人間にとって大切なことです。 そして、気分転換だけで終わらせず、少し心と頭をリセットして、「どうして思うようにいかなかったのか」を探ってみましょう。
 「集諦」とは、「苦しみの原因を探求し、はっきりと見きわめる」ということです。
 「イライラする」「なんか不安」「人からあれこれ言われたくない」「周りの顔色が気になる」など、自分の心の中で抱く悩みの奥には、きっと「成長したい」「認められたい」「仲良くなりたい」というほんとうの思いがあるはずです。その不足や悩みは、幸せになるための“求める心”と言えるでしょう。表面的な苦しみに恐れることなく、苦しみの奥にあるその心に気づく努力をすることが、大切です。

●考えてみよう! 始めるのが遅かった?そもそも理解できてないから?勉強の仕方が悪いのかな?
いつも後悔してる…。

滅諦:理想の境地

 「滅諦」とは、「さまざまな苦悩を消滅した心の安らぎの境地」ということです。
「集諦」によって、苦は自分でつくり出していることがわかったと思います。だから、自分のものの見方や考え方、ふれ合い方を変えることで、苦しんだ体験を自分のかけがえのない宝物にすることができます。
 自分がほんとうに願っていたことが分かると、その原因を工夫したり、改善した後の“こうなりたい!”“これができる!”というイメージをもつことができます。その前向きなイメージがとても大切です。

●考えてみよう! 上手くいったら自信が持てるなぁ。友達に教えてあげられる!

道諦:理想の実現

 理想の実現と聞くと、夢や理想を一足飛びに手に入れるような大きなことのように思いますが、「今自分が何をすればよいのか」「何から始めたらよいのか」を、きわめて身近なところを教えてくれるのが仏教の教えです。
つまり、苦しみの原因を取り除くために、自分の心の持ち方を変えていく努力をすることです。

□悪口は言わない

□人の意見に耳を傾ける

□規則や校則を守る

□すぐにあきらめない

□善いことを迷わず繰り返す

 など、これらのことを繰り返していく積み重ねの先に、夢の実現や努力が報われる未来があります。その中で、お互いを認め合い、違いを個性として尊重し、協力し合える智慧が身についていくのです。

まとめ

  • 悩みや苦しみは自分が成長するための大きなチャンス

  • 悩みや苦しみは“自分を高めてくれるありがたいもの”と感謝で受けとめていこう

 四諦の法門は、「苦の中にある本当の心に気づき、自分中心のものの見方や考え方を変えていくことで、人生に生じる苦しみを、自分を成長させる宝にすることができる」という教えです。  
 苦しみの解決法とは、苦しみをなくすものではありません。苦をきっかけにして、どう成長し、どう自分らしい人生を歩めるか、ということなのです。
 四諦の法門を活用すると、あらゆる苦悩に立ち向かっていける自信と安らぎを得ることができ、自分の本当の価値、いのちの尊さに目覚めることができるのです。