ものごとをありのままに見る
話し手:西日本教区(青年担当) 郷原 一彰さん
一人の修行僧がお釈迦さまに質問しました。
「あるときは、すみ切った気持ちになり、学んだことも学んでいないこともわかることがあります。その逆に、学んだことなのに頭に浮かんでこないことがあります。
いったいこれは、どういう理由なのでしょうか?」
するとお釈迦さまは、こう答えました。
「ここに器に入った水があるとします。もしその水が赤とか青とかににごっていたら、あなたの顔は見えますか?」
「いいえ、顔を映すことができないと思います」
「それと同じで、人の心にもっともっとという欲の心があると、ものごとをありのままに見ることができなくなってしまうのです。では、その水が煮えたぎっていたとしたらどうでしょうか?」
「やはり顔を映すことはできません」
「それと同じで、心がいかりに満ちていると、ものごとをありのままに見ることができなくなってしまうのです。さて、水面が水草でおおわれていたらどうでしょうか?」
「やはり顔を映すことはできません」
「それと同じで、心がぐちにおおわれていると、ものごとをありのままに見ることができなくなってしまうのです」