2019年11月27日
無常を受けとめ、前に進んだ彼女。
先日、よその支部のご供養に行ってまいりました。
私が昔関わっていた青年女子部の子の家で、そちらの支部長さんのご好意により、お参りが出来ました。
その女子部の子に対して、私は深い思い入れがあるんです。
初めて出会った時、彼女は25歳、私はなりたての新米支部長でした。
彼女は小中学校でイジメに遭い不登校、リストカット、うつ病など、いくつもの病気を持ち、社会に出ることなく、引きこもっていました。
両親は共に障害者で、彼女はひとりっ子。
部屋の整理整頓はなされず、ご宝前の脇は猫のトイレになっていました。
それぞれが、それぞれを、責めたり支えあったりしていました。
3人で寄り添い、ひっそりと暮らすその家族に、明るい未来は来るのだろうかと、漠然と思いました。
当時のサンガの関わりは、時として家族のプライドを傷つけることもあり、佼成会との関係はあまり良くありませんでした。
「あの家は変わりませんよ」と主任さんから言われました。
でも私は、家族一人ひとりと関わるうちに、みんな一生懸命生きているんだ!ということを強く感じました。
そして何より仏さまは「無常」という事を教えてくれています。
家族の仏性を感じ、無常を信じる。
私はそれに徹しました。
やがて、その家に大きな変化がありました。
お母さんの突然の死です。
とても悲しい出来事でした。
当時27歳の彼女は、頼りきりだったお母さんの〈死〉という現実を、ちゃんと受けとめたいと自ら願い、サンガを頼り、ご供養をし、教会に通い、法華経の勉強会にも参加しました。
お母さんが信じていた信仰をしっかりと受け継ぐ決心をし、前へ進んでいったのです。
自らが歩み始めたその日から、彼女は変わりました。
家をきれいに片付け、少しずつですが働き始め、恋愛も経験しました。
そうそう、恋愛ね、何回かしたんですよね(笑)
その度に相談されたりグチられたり。
私も楽しかったな~。
昔のあの状態から、恋バナや仕事のグチ話が出来る状態になったという事で、私は彼女のどんな話を聞いても嬉しかった。
社会で頑張ってるんだな~って思った。
そうなんです。私が先日参加したご供養は、お母さんの13回忌でした。
こんな言い方はよくないかもしれませんが、お母さんは身を呈して彼女を救ってくれたのかもしれません。
彼女の家を思うと、やっぱり無常と仏性を信じることが原点なんだな、と思います。
支部長になりたての私に、法の証明をしてくれたのが彼女の家でした。
感謝しかありません。