生きるヒント

◆ リストラを提案され、会社と従業員との狭間で悩んでいます……(48歳・男性)

スーパーの支店長を任されている48歳の男性です。不況で業績が落ち込み、本社から従業員のリストラを提案されました。

これまで従業員の和を大事にし、やりがいを持ってもらえるように努めてきたつもりです。従業員も私の期待に応え、一生懸命働いてくれました。それだけに、みんなを裏切るようで、どう切り出したらいいか分かりません。

私自身は何とか従業員に残ってもらいたいと考えています。会社と闘う覚悟もありますが、一方で、自分が解雇されるのではという不安もわきます。会社と従業員との狭間でリーダーとしての決断を求められ、苦しくて仕方ありません。

◇回答者 泉雅巳

頂戴したお手紙からは、あなたと従業員一人ひとりとの強い一体感、絆が感じられました。店長として一人ひとりを家族のように大切に思い、一緒に仕事に励まれてきたあなたは、本当に思いやりのある方だと思います。そして、あなた自身も、従業員と共に働くことに生きがいを持ってこられたのですね。そのように温かい、人の気持ちが分かる、優しいあなただからこそ、今、従業員に対して身を切られるようなつらさを味わっているのだと思います。

 

その一方で、企業も大変な経済状況の中を生き残らなければなりません。リストラの提案は、厳しい現実から導き出された苦渋の選択なのでしょう。そんな会社側の事情もあなたはよく分かっていらっしゃるのだと思います。だからこそ、会社と従業員との間でこれほどまでに苦しまれている。私には、あなたのその苦悩のお姿が、仏さまのように輝いて見えます。

 

私は、あなたならば、激しい環境の変化の中にあっても、従業員一人ひとりの人生を応援し続けることができるのではないかと思いました。と同時に、今回の出来事は、私たち人間にとって本当に大事なこと、仏さまのものの見方を、あなたが身につけていく大きなきっかけになるのではないかと感じます。

 

あなたや従業員一人ひとりが、この職場を通して頂いていた幸せはどのようなものだったでしょうか。そこのところをぜひ、もう一度よく見つめ直してみてください。そして、感謝の思いを大事にして、支店長の立場から本社に提案をしてみるのも一つの方法です。

 

本社の方針に変化がないのであれば、その方針を正直に、従業員一人ひとりにお伝えすることが大切になると思います。そして、そのようなときこそ、一人の人間として、自らありのままの気持ちを正直にさらけ出しながら、相手の戸惑いやつらさ、将来の不安など、すべてを聞かせて頂いてください。大切なことは、感謝の心、ありったけの真心を尽くすことです。従業員は、たとえ仕事を失ったとしても、つらい状況の中で、あなたに温かい触れ合いをしてもらい、将来の仕事や人生そのものに思いをかけてもらえたなら、きっと生きていくことに大きな勇気を得られるのではないかと思います。

 

私は、このようなことが、会長先生から教えて頂いている「善き友」となることだと思うのです。

 

思い通りにならない変化の世界で「善き友」を得ることは、仏道のすべてであると教えて頂きました。今回のことで、これまで以上に、私たち一人ひとりの尊さ、働くということの素晴らしさ、家族や仲間の支え、生かされている恩恵など、今すでに頂戴している恵みに気づき合いたいものです。仏さまは、さまざまな問題を通して、人間としての大事なことに気づき、成長し、幸せになってもらいたいと願っているからです。