生きるヒント

◆ 上司とギクシャク、良い人間関係を結ぶには(45歳・男性)

介護福祉士として働く45歳男性です。昨年3月、知人に誘われ、新しく出来た特別養護老人ホームに転職しました。利用者が自宅と同じように、のびのびと生活できる施設にしようと、オープンまでの毎日、介護内容についてスタッフで語り合いました。
しかし、いざオープンすると、オムツといった必要な備品一つ買い渋る施設長に言葉を失うばかり。食事や入浴方法の工夫を提案しても「費用の無駄」と一蹴され、最低限のケアもままならない状態です。何度も相談する私を疎ましく感じたのか、ついに、施設長から介護リーダー降任を言い渡されてしまいました。利用者を思うと不安は尽きませんが、正直、ワンマンな施設長についていけません。この状況をどう乗り切ればいいでしょうか。

◇回答者 園 浩一

施設を利用するお年寄りの幸せを願い、あなたは努力されてきたのですね。新天地で理想の介護を目指してスタッフと話し合い、アイデアを立案するなど、これまで培われた経験を大いに発揮されたことと思います。しかし、いざ施設がオープンしてみると、施設長と意思疎通ができず、リーダーから外されてしまった。憤りを感じながらも苦悶している様子が伝わります。

 

 あなたと施設長は今、相反している状態だと思います。このような状態を「関係がガタピシしてきた」などと言います。一般的には、建付けが悪く戸がきしむ状態を指しますが、これは「我他彼此見」という仏教の言葉がもとといわれます。自己中心で常に自分と他人を差別してしまう見方のことで、これが争いのもとになるというのです。

 

 すべてのものはつながり合い、支え合っている--「諸法無我(しょほうむが)」の真理の中で生かされている私たちなのですから、こちらは良くてあちらは悪いと、自分にとって都合の良い見方をしていては、良い人間関係は築けません。

 

 そこで、施設長に反発するあなた自身の心を、「自己を敬い、他を敬う」という視点から、客観的に見つめてみてはいかがでしょうか。

 

 「ワンマン」と思える上司の言動も、施設を運営するという立場から見ると、利用者の負担を少しでも減らしたいと考えての判断かもしれません。また、リーダーを外されたとありますが、そうした介護の現状を、スタッフの視点からもう一度見直してほしいという、施設長のあなたに対する願いかもしれません。退職勧告ではなく、恨まれるのを承知で降格にしたのは、より成長してほしいと願う施設長の優しさではないかと見直してみるのです。

 

 施設長という縁を通して、自分にも、相手を圧するような言葉遣いや態度はなかったか、いま一度振り返る機会にして頂きたいものです。

 

 そのように、いまある出来事をあるがままに見つめてみますと、「自分だけが正しい」という我欲は自然とおさまり、心が落ち着いてきて、相手のおかげさまが見えてきます。

 

 その心で施設長と触れ合っていくならば、また新しい信頼関係を築いていけるはずです。職場は心を磨く最高の場所です。今の苦労は必ず役に立つことでしょう。

 

 超高齢社会を迎えた今、介護はますます重要です。あなたと施設長が力を合わせていける施設へと変わっていくよう祈念しています。