生きるヒント

◆口下手な自分に落ち込みます。「明るい」「楽しい」と周囲に感じてもらうには…… (17歳・男性)

自分から面白いことを言ったり、場を和ませたりするような会話のセンスがありません。また、もともと自分がしゃべらなくても気にならないので、人の話を聞いて笑う以外は黙っていることの方が多いと思います。そのため友人たちから、自分が話をしても、しなくても、「暗い」「つまらない」と言われることがあります。皆いい仲間なので冗談っぽく言うのですが、<自分と一緒にいても楽しくないのかもしれない><みんなに気を使わせている>と考えると、落ち込みます。就職など将来も不安になってきます。無口や口下手なままだと、本当に暗い、つまらない人間なのでしょうか。話があまり上手でなくても、「明るい」「一緒にいて楽しい」と周囲に感じてもらうには、どんなことを心がければよいでしょうか。

 ◇回答者 泉田和市郎

 自分の個性、また長所や短所を知ることは大切ですが、実は、自分ではなかなか分からないものです。多くの場合は他者によって気づかされたり、見いだされたりすると言えるでしょう。

 私は、あなたのことをとても周囲への思いやりにあふれている人だと感じました。自分の性格を素直に分析し、友人たちへの気遣いができています。同時に、心の奥底に<人を喜ばせたい><人の気持ちを和ませたい>という願いを持っているのが分かります。あなたはすでに、私たち人間が生きていく上で非常に大切なことを知っている。素晴らしい特質をご両親から授かったとも言えるでしょう。本当に尊いことだと思います。

 その上で申し上げます。無口や口下手なままであっても、決して暗い、つまらない人間ではありません。

 人の話を快く聞いてあげられるのはあなたの特長、生まれ持った徳分です。あなたが友人の話にじっくり耳を傾け、面白いことには素直に笑ってくれるからこそ、皆が一層楽しくおしゃべりができるのではないでしょうか。自信を持ってください。そして、ますますその特長を発揮し、伸ばしていってほしいと思います。きっとそれは、あなた自身の喜びにもつながるはずです。

 仏教では、私たちの日々の具体的な心がけとして身の振る舞い、言葉(発言)、心の持ち方について説いています。人が誰かに対し、「明るい」「一緒にいて楽しい」と感じるのは話の上手さ、面白さだけではありません。身、つまり体や顔で表現したり、直接伝えられなくても心に思っていくことが大切なのです。友人の話をニコニコ、笑顔でじっくりと聞く。また<一緒にいると楽しいな><こういうことに彼は気づくんだなぁ>と、心の中で友人を尊敬していくこともそうです。そうした実践があなたの明るさ、優しさを皆に伝えます。今も十分できていると思いますが、さらに心がけて頂けると有り難いと思います。

 いろいろと申し上げましたが、私も人前で話すのは決して得意ではありません。子供の頃は、人に顔を見られるのが嫌でいつも母の後ろに隠れていました。学生時代もあなたと同じで自分から積極的に発言することはなく、人の話をじっと聞いていたものです。しかし、お役のおかげさまでこれまでずっと、そして現在もチャレンジをさせて頂いているところです。

 将来のことなど心配いりません。「聞く」というあなたの特長を伸ばしながら、心の奥にある<人を喜ばせたい><人の気持ちを和ませたい>という願いを大切に、大きく育ててほしいと思います。