生きるヒント

◆ 小学5年生の長女の友達付き合いに悩んでいます……(37歳・女性)

37歳の母親です。小学5年生の長女は、同級生の女の子に誘われ、よく一緒に遊んでいます。その友達は大人の前ではとても良い子ですが、長女の悪口を言いふらし、仲間と一緒に長女を無視したことがあるようです。長女を誘って二人でカラオケ店に行った時には、長女をきつく叱りました。その友達は両親が離婚し、両方の家を行ったり来たりしています。心の寂しさに寄り添ってあげたいと思う半面、長女が友達に引きずられてしまうようで、もう一緒に遊んでほしくないという気持ちもあります。人にはやさしい子になってほしいと願いながら、矛盾する自分がいます。人のために生きることと、現実の生活を守ること。その狭間で揺れ動き、長女にもどう接したらいいか分かりません。

◇回答者 秀島康郎

子供の幸せを願い、その成長を妨げる縁から子供を守りたいと思うのは親として当然の心情だと思います。文面から人のために生きることと、娘さんを守ることの狭間で悩むあなたのお心が痛いほど伝わってきます。

 

 友達は大変さびしい思いをされているようですが、今回の出来事は、あなたが娘さんと一つになれるかどうかのお手配ではないでしょうか。小学5年生といえば子供なりに善悪の分別がつく年齢です。娘さんがなぜ友達と付き合っているのか。どうしてカラオケ店に行ったのか。娘さんとじっくり向き合い、正直な気持ちを聞き、母娘が「一つ」になるための絶好のチャンスであると思います。

 

 この時に大事なのは、あなたの価値基準を交えず、娘さんの一言一言をありのままに受け入れ、認めていくことです。「私も娘と同じ立場だったら、きっとそうしたに違いない」。そう思えるくらいに娘さんと一体となることができれば、本当の親子関係を築くことができるはずです。

 

 この「相手と一つになる」ことの大切さについて、仏さまは『無量義経説法品』で次のように説かれています。「是の如き眞實の相に安住し已つて、發する所の慈悲、明諦にして虚しからず」--この意味は、あらゆる物事は仏さまに生かされている一つの存在である。そうした「真実の相」を悟り、相手と一つになり、そこから発した慈悲と明諦(智慧)は、必ず立派な結果となって現れるということです。

 

 「お母さんと娘さんが『一つ』になることができれば、必ず素晴らしい親子関係が『結果』として現れるのだよ」。仏さまはそうお説きになられているのです。

 

 また、人に寄り添うやさしい子になってほしいと願うあなたは、きっと深い信仰が身についた方なのでしょう。その半面、友達に引きずられるのを恐れ、現実を守りたいとも思われています。このように理想と現実のギャップに苦しむ時、実は大本への感謝が何よりも大切なのです。

 

 『妙法蓮華経妙音菩薩品』にこんな場面があります。理想世界から娑婆世界(現実世界)に向かう妙音菩薩に対し、仏さまは娑婆世界を軽んじてはならないと諭されます。妙音菩薩はうなずき、娑婆世界に行けるのも「すべては如来の力のおかげさまです」と答えます。そして妙音菩薩がそのことを深く心に定めると、現実世界の娑婆世界がパッと金色に輝きます。つまり理想と比べ、現実を見れば不満や心配は尽きないのですが、大本に対しての感謝の心を深く定めると、現実世界がそのままの姿で有り難い世界に変わるということです。

 

 あなたが今、いのちを頂き、娘さんがいることに心から感謝できたなら、きっと目の前の世界も違って見えてくるはずです。このたびの娘さんと友達の問題は、あなたと娘さんが仏に成るための仏さまのお慈悲なのです。大丈夫です。仏さまはいつもそばにいて、あなたを見守ってくれています。どうか法華経を信じ、経文の通りに一歩を踏み出してください。もし不安が生まれたなら、その時、お声をお寄せください。ともに仏に向かって精進してまいりましょう。