生きるヒント

◆ 息子の死をどう受けとめたらいいのか…(67歳・女性)

息子が先月、がんで亡くなりました。36歳でした。妻と7歳、5歳の男の子を残し、さぞや無念だったと思います。私の夫も肝臓がんで57歳の時に亡くなっており、息子は遺伝性のがんでした。早世した親族もいたので、息子は結婚する時、「もしかしたら自分は長生きできないかもしれない」と、嫁に告げていたそうです。後で聞き、胸が締めつけられました。葬儀には友人や知人が250人も来てくださり、息子が多くの方に愛され支えられていたことを知りました。私にできることはなかったのか。今は悲しみで胸がいっぱいです。

◇回答者 園 浩一

ご自分よりも先に、年若い息子さんを霊界へおくらなければならない母親の悲しみはいかばかりか。おつらい気持ちが胸に迫ってきます。同じように、最愛のご主人を失くされたお嫁さんの悲しみ、若くして父を亡くした子供たちの心の痛み。ご親戚や関係者もその死を悼み悲しんでおられることでしょう。

 

 仏さまの教えの中に、顛倒(てんとう)という言葉があります。世の中は常に変化している(無常)のに、変化しないと見る錯覚、みんな持ちつ持たれつ助け合っている(無我)世界なのに、自分だけの幸せを追い求める逆さまの見方です。それによって、人は自分で苦悩を呼び込んでしまうのです。

 

 私たちが悲しい時に流す涙は、そうした人間の自分本位の心を洗い流してくださる、仏さまのお慈悲なのかもしれません。息子さんの死によって、どれほど多くの人が、その涙を流し、無常を感じ、生き方を変えていかれたことでしょうか。大切なお役を果たして、息子さんは霊界へ旅立たれました。

 

 今頃は、開祖さま、脇祖さまのみもとで、「お母さん、ありがとう。頑張って生き抜いたよ。父さんとも一緒だよ。みんなの幸せを念じているよ」と、おっしゃっていることでしょう。亡くなられたみ霊(たま)に、追善回向の誠を捧げることは、この世の私たちにできる、最善の行いです。そして、霊界の皆さまもまた、残してきた家族のことを案じ、祈ってくださっているのだと感じることがあります。それは、思えば思われるという縁起の教えからも分かります。

 

 私たちは皆、仏さまのいのちを頂いて、ここにあります。そして、仏さまの教えに沿っていくと、安心と希望が頂けるのです。過去を宝にして「今日なすべきことを全力でなせ」が、仏さまの教えです。「長生きできないかもしれない」と、ある意味、覚悟を持って生きておられた息子さんは、一日一日をどんなにか真剣に生きておられたことでしょう。その生き方に学び、家族が皆、充実した人生を送ることが息子さんへの何よりの恩返しとなります。

 

 そして、今あなたは、家族の中心であり、先達なのです。後ろ姿で教えを示していくこと。残ったお嫁さんを助け、次の世代を立派に育て上げるお役目――。

 

 「いつもあなたを忘れない」の祈りと感謝を込めて、まわりの人に喜んで頂く触れ合いを、元気にさせて頂こうではありませんか。