生きるヒント

◆ 結婚後も仕事を続けたいのですが、周囲が納得してくれません……(30歳・女性)

10月に結婚します。相手の男性は福祉関係の仕事をしています。現在の収入では共働きでないと生活できません。それに、私自身、就職して9年、最近やっと自分の仕事に自信と誇りを持てるようになり、これからもっと成長していきたいと思っています。彼と話し合い、働けるうちは働いて、将来のために貯金をしようと決めたのですが、周囲が納得してくれません。先日も、知人から「結婚したら仕事を辞めるべき」と責められました。なぜ、女性だけが仕事を辞めなければいけないのでしょうか。女性の幸せは子供を産んで家庭に入ることと暗に言われると悲しくなります。周囲の期待も、ただ重いだけです。結婚したいと思える人に出会えた喜びも、今後のことを思うと気が滅入ります。私は周囲の意見を受け入れていくべきでしょうか。

◇  回答者 松本貢一

大切だと思える人に出会い、人生を共に歩むと決意されたことに、まず、「おめでとうございます」と申し上げます。生活の糧を男性に依存しようとせず、将来のために共働きを望むあなたは、自立していると同時にとても優しい女性ですね。二人で頑張ろうと思えるあなただからこそ、彼も結婚に踏み切れたのかもしれません。

 

新たな生活をスタートする前に、周囲から予想外な厳しい指摘を受けて困惑されたのでしょう。言葉の端々から、<私の何が間違っているのだろう>と思い悩むつらい気持ちが伝わってきました。ここで申し上げたいのは、「結婚したら仕事をやめるべき」あるいは「女性の幸せは子供を産んで家庭に入ること」という考え方に正否を出すことは重要ではないということです。

 

仕事を続けたくても病気で辞めざるを得ない人もいます。夫のケガが理由で辞めたくても働かざるを得ない人もいます。生活の形は環境によっていかようにも変化するので、これが正しいと決められるものではありません。二人を取り巻く生活状況や条件を考えた上で、お互いが一番納得できる道を探していくことが大事ではないでしょうか。

 

ただ、ご相談を拝見し、少し気になる点がありました。出産のことです。お手紙に書かれてはいませんが、子供は欲しくなったときに考えればいい、くらいの気持ちで構えていませんか。人生を計画的に生きていくことは良いのですが、すべてが思い通りにいくとは限りません。あなたが将来、いざ出産を望んだとき、それが叶う保証ははないのです。「仕事を辞めるべき」という知人の強い言葉の奥には、<後悔してほしくない>とあなたを心配する気持ちが込められているのではないでしょうか。

 

思い通りにしたいという執着が苦を生み出すと教えて頂いています。意にそぐわない言葉に耳をふさぎたくなる気持ちは誰にもありますが、反発を続けては苦しみを生むばかりです。先にも申し上げたように、相手の意見が正しいかどうかではなく、まず、<仕事を続けたい>と高ぶるあなた自身をニュートラルに戻してみてはどうでしょう。

 

周りの人がなぜそう言うのか、言葉ではなく、その奥にある思いを感じ、もう一度、夫となる人と二人でしっかり向き合うことが大切だと思います。一方的に「絶対こうだ」と押し切るのではなく、自分たちが置かれている環境、周囲の意見、将来への思いなどを共有し、その中でどうすることが一番良いかを話し合ってみてください。落ち着いて見ると、今まで気づかなかった彼の本音や、あなたに負担をかけまいと必死に頑張る姿が見えてくるかもしれません。夫婦として歩み出す前に二人の心が本当の意味で一つになるため、今回の出来事を、自分の心をニュートラルにする機会にして頂きたいのです。

 

二人が心を合わせれば、乗り越えられない壁はありません。今、お二人は、夫婦として良いスタートを切る、そんな心構えを頂いているのだと思います。