生きるヒント

◆ 課長としてうまく部下をまとめたいのですが(43歳・男性)

医療機器の販売会社に勤める43歳の男性です。最近の人事異動で課長に昇進しました。本当は、管理職などに就かず、自分の好きなように営業の仕事をしていたいのですが、周りの状況からそうもいきませんでした。ところが、いざ、課長の立場になると、課員たちから、これまでの私の職場態度や私が求める仕事のやり方に対して不満をぶつけられ、課の中で孤立するようになりました。課長職など投げ出してもいいのですが、それでは、この会社にもいられなくなるでしょう。この不況下では、職を失うことはできません。部下たちを説き伏せてうまくやっていくには、どうしたらいいでしょうか。

◇回答者 松原 通雄

会社という組織に身を置き、その中で生きていこうとするときに、自分の思うように部署や職種、ポストなどを選べないということはよくあることです。

 

 どのような会社の状況、職場環境にあったとしても、あなたは課長というポストを、あなた自身の責任において引き受けたのです。ですから、その役割を果たしていく覚悟を決めなくてはなりません。あなたには、これまでとは全く異なった仕事内容が待っているはずです。

 

 おそらく、あなたは今日まで、優秀な営業マンとして成績を残してこられたのでしょう。それが評価されて、今回の昇進につながったのだと思います。その経験を生かして、課員を善導していくことを会社から望まれているのです。あなたには個人成績ではなく、課としての成果が問われます。それは、部下である課員の働きと協力なしには得られません。課員と対立し、孤立することは、あなたにとって致命的な問題です。

 

 あなたの相談内容に目を通して、私が感じたことは、あなたが仕事に対して思い上がった考え方をしているのではないかということです。その思い上がりが、「部下たちを説き伏せて」という言葉に表れていると、私には感じられます。

 

 たしかに、あなたは自ら努力を重ね、優秀な営業成績を残してきたかもしれません。しかしそれは、あなたひとりの力によるものだったのでしょうか。何も分からない新入社員だったあなたが、今日のような営業マンとして育った陰には、上司や同僚、顧客のアドバイスや力添え、協力が必ずあったはずです。それら多くの恩に謙虚に感謝する心を、あなたは自分自身の中に見つけられますか。部下たちの反発は、あなたの感謝のない心に原因があるのではないか。私にはそのように思えてなりません。

 

 そのことに気づきさえすれば、あなたの行動が変わるに違いありません。互いに一人では仕事が成り立たないのですから、課の中の人間が協力し、支え合う体制づくりが必要です。その第一歩は、上司であるあなたが課員のもとに足を運び、声をかけることです。「おはよう」「ありがとう」……。仕事、会社、そして仲間への感謝から出るあなたの言葉は、必ずや課員たちの心に響くことでしょう。

 

 会社の中で、部署やポストが変わったときは、自分自身の仕事への姿勢を見つめ直すチャンスです。そのことを通して、また家庭生活を含めた自分の生きる姿勢を、真摯に振り返ることもできます。人生の好転機として、プラス思考で受け止めたいものです。