生きるヒント

◆電気製品の工場でチーフに。上司とスタッフの板挟みに悩んでいます(28歳・男性)

電気製品の工場で働いて5年になります。今秋にチーフになり、上司から能率アップを命じられ、仕事の見直しや従業員の指導に努めるよう言われました。従業員は正社員ではない人が多いものの、自分よりも経験を積んでおり、職場を熟知しています。私の言うことをしっかり聞いてもらえている気がせず、上司とスタッフの板挟みです。自家は小さいながらも電気工事の仕事をしており、家業を継いだ方がいいかと思う時もありました。今は投げ出さずに全うしたいと思いますが、突破口が見いだせません。より良い職場にするために、どう人間関係を築いていけばいいか教えてください。

◇回答者 出射優行

 入社されてから、よく頑張ってこられましたね。チーフを任されるというのは、基礎的な能力を身につけられた証しです。上司の期待も大きいと感じました。

 他の従業員に比べて年齢も若く、経験も浅いのに組織をまとめていかなければならないのは大変なことです。上司と従業員の板挟みの中で、つらさを感じるのは28歳という年齢では無理からぬことでしょう。一時は退職を考えられたようですが、より良い職場にするために、人間関係をどう築くかとの考えに至られたことは、前向きな問題意識の表れだと思います。

 企業などあらゆる組織は人で成り立っています。どんなに素晴らしい業務の仕組みを用いても、従業員一人ひとりのモチベーションが高まり、その協力が得られない限り、仕事の成果は上がりません。中間的な管理を担う人は、一人ひとりと情的な関係を強め、信頼関係を築いていくことが目標達成には不可欠です。その意味では、あなたは取り組むべき課題の本質をとらえていらっしゃいます。

 京セラの創業者で、現在は名誉会長を務められる稲盛和夫さんは、人生や仕事の結果は本人の「能力」「情熱」「考え方」の乗数(かけ算)によると言われます。能力と情熱はどんなに低くても、マイナスになることはありません。しかし、「考え方」は、自らの環境を肯定的に受け取るか、否定的に受け取るかでプラスにもなれば、マイナスにもなり、結果は百八十度違ったものになるとのことです。

 佼成会でも、目の前の現象を否定的に見るか、肯定的か、あるいは感謝で受け取るかによって物事の結果は大きく変わると教えて頂いています。より良い人間関係をつくれるか否かは、現在の環境や従業員に対するあなたの見方、考え方が大きく影響してくると言えます。

 あなたは、電気工事をされているお父さんの姿を見て、エンジニアやメカニックに関心を持ち、現在の仕事に就かれたのではないでしょうか。一時、父の仕事を継ごうかと考えたのですから、愛情を持って仕事に打ち込むお父さんの姿に魅力を感じてこられたのだと思います。

 いま一度、お父さんの姿を思い出してみてください。そして、お父さんに感じたのと同じ魅力を従業員の方々に見いだしていく--そこにこそ、突破口があるのだと思います。従業員の方々を、<この人たちはよく話を聞いてくれないし、話にくいな>と見るか、<父と一緒だ。この仕事を愛してくださっている>と受け取るかでは、自然と触れ合い方は変わってきます。

 チーフとは従業員を指導して仕事させる役割だけではありません。ご縁を感謝で受け取り、共に汗を流していくスタイルもあるのだと幅広く考えることが必要でしょう。「どうすれば作業の能率が上がるでしょう? 教えてもらえませんか」「目標の達成のために一緒に考えてもらえませんか」などと声をかけていけるといいですね。誠意は必ず伝わるものです。