今日のことば

5/20 月曜日

苦境にこそ夢を

社会の先行きがまるで見えず、会社の経営状態が苦しくなったりすると、つい眉間(みけん)に縦皺(たてじわ)が寄って、話題も暗くなりがちです。しかし、そこで社長さんや部長さんが、会社の現状の厳しさを社員に訴えて尻(しり)をたたいてみても、逆効果にしかならないことが多いのです。現実が厳しいときほど、人は夢がほしいものだからです。

『法華経』の「化城諭品(けじょうゆほん)」では、宝の山に人びとを導くリーダーが悪路にへたり込む人たちの前に幻(まぼろし)の城を浮かび上がらせて見せて励ます話が説かれています。その悪路は、じつは自らの煩悩(ぼんのう)がつくりだしている険難悪道(けんなんあくどう)なのです。

社会や会社が突き当たる困難はさまざまですが、その大もとは人の心にあります。人びとを導くリーダーは、そこのところをしっかりと見すえなくてはなりません。そして、この苦境を乗り越えることができれば、必ず目の前に宝の山が出現するのだと、その姿を具体的に描いて見せて、みんなに希望を持たせ、心を奮(ふる)い立たせることが大事なのです。

リーダー自身が夢を持っていなくては、人はついてきてくれません。

庭野日敬著『開祖随感』第11巻 28~29頁より
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