今日のことば

5/16 木曜日

なんとしても分かってほしい

「朝日新聞」の「天声人語」を執筆されていた名文家の辰濃和男(たつのかずお)さんが、こんなことを言われています。

その文章が力を持つかどうかは「なんとしてもこれを伝えたい」という情熱次第だというのです。このことをなんとしても読者に伝えたいと真剣になると、読む人の立場に立たずにいられなくなる。お年寄りにも子どもにもちゃんと分かる文章こそ名文だ、と辰濃さんはいうのです。

『法華経』の「如来寿量品(にょらいじゅりょうほん)」で仏さまは、「どうしたらみんなを仏の道に導き入れられるか。私はそれだけを念じているのです」とおっしゃられていますが、私たちも、「この相手にどう説いたら分かってもらえるか」と考えると、あれこれと心をくだかずにいられなくなります。それが慈悲心です。

説法でいちばん大事なのは、「この教えを実践すれば、あなたもこんなに幸せになれるのですよ」という一念に尽きます。ですから私は説法をするとき、みなさんの反応を見ながら話させてもらうのです。私の話が「なるほど」と納得できると、信者さんが目を輝かせ、身を乗り出して聞いてくださいます。琴線(きんせん)に触れない話だと、もうひとつ顔色がさえないのです。

庭野日敬著『開祖随感』第11巻 20~21頁より
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