今日のことば
12/3 水曜日
仏さまの嘆き
お釈迦さまは、「今此(こ)の三界(さんかい)は 皆是(こ)れ我が有(う)なり 其(そ)の中の衆生(しゅじょう)は 悉(ことごと)く是れ吾(わ)が子なり」とおっしゃっておられます。
その仏さまの子どもである人間が、互いに争い合い、搾取(さくしゅ)し合うことをやめられずにいる姿を、仏さまはどんなに悲しんで見ておられるかしれません。すべての人が、具えている仏性(ぶっしょう)を開顕(かいけん)し、それぞれの特徴を生かし、善き因縁のもとに有意義な人生を送ってほしい、と法華経の論旨は一貫してすすめられています。
とくに「信解品(しんげほん)」に出てくる「長者窮子(ちょうじゃぐうじ)の譬(たと)え」を拝読して思うのは、かけがえのない宝をいただいている私たちが、それに気づかずに、さまよい歩いている愚かさです。それを仏さまはどれだけお嘆きになっておられるか、ひしひしと伝わってきます。
みんなが自分に具わる仏性という宝に早く気づき、それにもとづく生活をして、本当に豊かになってほしい、平和な世界を築いてほしいという仏さまの願いをわが願いとすると、あくせくと物を追い求め、奪い合い、争い合っている人びとの姿が、かわいそうで、黙って見ていられなくなってくるのです。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 196~197頁より