今日のことば

12/31 水曜日

踏みださせる力

大晦日の夜は、方々の寺で除夜の鐘が響き渡ります。今年一年間に積もった煩悩(ぼんのう)を取り除いて、心身ともに清らかに新年を迎えられるようにと百八つ打ち鳴らされるのですが、この煩悩の大もとは何かというと、自分中心のわがままな心なのです。

自分の得になることしか考えようとしない。思いどおりにならないと、いちいち腹が立つ。人を思いやることができなくて、目先のことしか見えない……。そのために自分で自分を苦にしばりつけているのですが、自分の癖(くせ)で見たり考えたりしているのですから、自分のどこがどう自己中心なのか分からないのです。

ですから、たとえば竹の曲がりを直すのに反対のほうに何度も何度も大きくたわめて癖を直すように、自分の損得など考えず、思いきって人さまに幸せになってもらう奉仕に踏みだしてみるのです。すると、知らぬまに自分中心の心が一皮一皮剥(はが)れ落ちて、「ああ、ここが自己中心だったんだ」と気づかされるのです。「善(よ)き仲間」と一緒だと、この踏みきりが容易にできるのですね。一年の終わりにもう一度、サンガに包まれている幸せをかみしめたいものです。

庭野日敬著『開祖随感』第8巻 202~203頁より
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