今日のことば
12/23 火曜日
法縁をいただいたら
「是(これ)は得是(とくこれ)は失(しつ)と横計(おうけい)して、不善の念を起し衆(もろもろ)の悪業を造って……」という言葉が『法華経』にあります。得だ損だと勝手に計算して、よからぬ考えで悪いことばかりしている人びとを憐れまれる仏さまのお言葉です。
また「冥(くら)きより冥きに入り永く仏の名(みな)を聞かず」という言葉も、「化城諭品(けじょうゆほん)」に出てきます。明るく、浄い、本当の安楽な生活に背を向けて、自ら暗いほうにばかりのめり込んで、差し伸べられる仏さまの救いの手も、呼びかけも聞こうともしない人たち、つまり救いの縁に触れることのない人びとを心配される仏さまのお言葉です。それに比べて私たちは、すでに仏縁・法縁をいただくことができて朝夕に仏さまのみ名を唱え、その教えを聞かせていただいております。
人より先にその尊いご縁をいただけた私たちが、仏さまにかわって、「かつて私も、損得中心の生き方をしていて暗い家庭だったのですが、いまはこうなれました」と、自分の体験をお伝えしていかなくてはなりません。それが仏さまの手足となるべき私どもの使命なのです。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 290~291頁より