今日のことば

11/29 土曜日

大恩は報ぜず

人間は迷っているときにいただいた助言や、困っているときに面倒をみてもらったこと、苦しいときにお金を貸してもらったといったことは、よく覚えています。いや、近ごろは人情が薄れてしまって、そうしたことも忘れている人が多いという意見もあるかもしれません。

しかし一般的にいって、人間はそうしたときに受けた恩恵はいつまでも覚えているものですが、そうした恩恵を「小恩」とするならば、もっと大きな恩というものがあるはずです。つまり「大恩」です。

まず、空気というものがなかったならば、私たちは瞬時も生きていることはできません。太陽の恵みもそうです。水も、またしかりです。そうしたものは、私たちがその恩を忘れていても「この恩知らずめ」などとは言いません。

しかも、いつもあるものですから、私たちはごくあたりまえのことのように思って、感謝の念を抱くことが少ないのです。少恩は知っても、大恩に気づかずにいるわけです。それで「大恩は報ぜず」という言葉で、私たちを生かしてくださっているものの大恩に報いることのなさを戒めているわけです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 174~175頁より
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