今日のことば
12/13 土曜日
清信士(しょうしんじ)と清信女(しょうしんにょ)
お釈迦さまは、そのご生涯を通してあらゆる人びとに法の種子を植えつけられたのですが、法華経を拝読しますと、精舎に人びとを集めてお話をされるとき、お釈迦さまは必ず比丘(びく)、比丘尼(びくに)、優婆塞(うばそく)、優婆夷(うばい)に向かって法を説いておられます。
ご承知のように比丘、比丘尼とは、出家した男女の仏弟子のことであり、優婆塞、優婆夷とは男女の在家信者のことです。
この優婆塞というのは、梵語(ぼんご)の「ウパーサカ」を、そして優婆夷は「ウパーシカー」を漢字に音写したもので、その語を正確に訳すと「清信士」と「清信女」となります。
ですから、初めは自分の煩悩(ぼんのう)のままに道場を訪れた人であっても、あるいはまた、自分の欲望を満たすためだけに拝んでいる人であっても、そこからだんだんに自分の心を清めていって、仏さまのお言葉にうそ偽りがないことを信じて素直に教えを実行していく、すなわち清信士、清信女になろうと努力することが大事なのです。
それでこそお釈迦さまのお弟子の優婆塞、優婆夷と言えるわけです。これは、お戒名にだけ使われる呼び名ではないのです。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 260~261頁より