今日のことば

11/24 月曜日

錦(にしき)はまとえど

「襤褸(ぼろ)は着てても、心は錦」という言葉が、確か水前寺清子さんの歌にあったと記憶していますが、人間の心意気を示すものとして、人びとにもてはやされたのでしょう。物の豊かさよりも心の豊かさが強調されています。

もちろん、人間は物だけで生きているわけではありません。かといって、心だけで霞(かすみ)を食べて生きていけるものでもありません。しかし、いまの日本は襤褸を身にまとっているどころか、人びとはみんな恵まれた服装をしていて、国民の大半が中流意識を持っています。

それなのに、欲にとらわれて、もっと欲しいもっと欲しいと、欲求をつのらせているのです。これでは、「錦はまとえど、心は不満」と歌詞を変えなくてはなりません。

物質の面でも、平和の面でも、現在の日本ほど恵まれた国はないといってもいいでしょう。そこで、いまいちばん必要なのが、すべての日本人が「少欲知足(しょうよくちそく)」の精神、つまり、足るを知る感謝の心を持つことだと思うのです。それが、なによりもいま必要なのです。

庭野日敬著『開祖随感』第6巻 136~137頁より
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