今日のことば

5/1 木曜日

懐(ふところ)に飛び込む

法然上人(ほうねんしょうにん)をお師匠さんと思い定められた親鸞(しんらん)上人は、「だまされて地獄に堕(お)ちてもかまわない。この方についていこう」と決定(けつじょう)されるのですが、それほどまでに心の底から傾倒し、尊敬できる師を持てたら、こんな幸せなことはありません。

私たちは毎日いろいろな場面にぶつかって、そのつど決断していかなければなりませんが、そのとき、つい楽な道を選びたくなってしまいます。ところが、自分のすべてをゆだねられるお師匠さんを持つと、どんなに無理に思える言葉であっても、「そうだ。そうしなければならないんだ」と、自らの意志でその言葉に従えるのです。人生で右するか左するか決断しなければならないときに、師と仰ぐ人を持っていると、決断を誤らずに済むのです。

そんなすばらしいお師匠さんは自分のまわりには見当たらない、と言う人がいるかもしれませんが、「この人」と思ったら、その懐に飛び込んでしまわなくては、そこにお師匠さんがおられても見えないのです。

「善友(ぜんぬ)にはくるしくわびしく(辛(つら)く)とも近づきて行道すべきなり」と、道元禅師(どうげんぜんじ)はおっしゃられます。

庭野日敬著『開祖随感』第8巻 240~241頁より
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