今日のことば
12/14 日曜日
完璧(かんぺき)な法門
お釈迦さまが大変なご修行をされて悟られ、以来、二千五百有余年にわたって伝えられて、数々の先達が研鑽(けんさん)を重ねてきた仏教の教えは、まさに磨きぬかれた完璧な法門です。この教えに対して私たち凡夫(ぼんぷ)が、自分のわずかな経験と浅薄な知識で、「そんな修行ができるわけがない」とか「そんなことは信じられない」などと言うのは間違いです。
いま、自分のわずかな経験と浅薄な知識と言いましたが、私は以前、白楽天と樹上にいる鳥窠(ちょうか)禅師の問答の様子を絵に描いたことがありました。
そのとき、木の上に禅師がすわられるなどということが実際にできるものかと、絵筆を持って思案したものです。ところが中国を訪れたときに、実際に白楽天が住んでいた地へ案内されたのですが、そのあたりの大樹は、すべて幹の途中から四方に太い枝が出ていて、その中心は、すわるのにまことに適しているのです。
それを見て、あらためて自分の知識だけでものごとを批判する愚かさを学んだものでした。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 262~263頁より