今日のことば
11/25 火曜日
同悲同苦(どうひどうく)の体験をもとに
ご承知のように、イスラム教では断食というものを行ないますが、かつてイスラム教徒の方とお話しした折に、断食について、こう教えていただきました。
まず、断食はそれによって祖先の苦難をしのぶということがひとつ。さらに、いつ苦難に見舞われても耐えられる心身を日ごろから養っておくためだというのです。
私たちも「一食(いちじき)を捧げる運動」を展開しております。それによって生みだされた浄財を、飢えに苦しむ人びとのために捧げるのも一つの大きな目的ではありますが、それと同時に、飢えに泣く人びとの悲しみ苦しみを味わい、その同悲同苦の体験によって慈悲心を育て、それにもとづく生活に切り換えていくことこそ大切です。
それが仏さまの願いであり、それなくして寂光土(じゃっこうど)の建設は成就しない、と仏さまは教えておられます。
私たちがその仏さまの願いを自己の誓願として、教団の内外、国の内外で実践していくことが、なによりも大切でありましょう。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 150~151頁より