今日のことば
11/20 木曜日
守らねばならぬもの
鉄道ができて駅馬車がなくなり、テレビが普及して映画館が斜陽になるというように、社会はどんどん移り変わっています。時の流れというか、諸行無常(しょぎょうむじょう)の道理をあらためて思い知らされますが、そのように有為転変(ういてんぺん)のはげしい時の流れの中にあって、なお大切に守らなければならないもの、失ってはならないものがあるわけです。
かつては美徳とされた仇討(あだう)ちも、いまでは野蛮な行為として否定されていますが、そうしたものとは違って、仏さまの教えは不変であり、枉(ま)げてはならないものです。その教えの研鑽(けんさん)は一刻たりともおろそかにしてはなりませんが、教えの真意を抜きにして、ただ教条的に、かたくなな説き方になってはなりません。
抜苦与楽(ばっくよらく)が仏教の目的ではありますが、現在では、その苦も個人のそれからさらに拡大して、人類全体にかかわる大きな苦になっています。
ですから、お釈迦さまがもしも現代の世にお出ましになられたならば、何とおおせられ、何をなさるだろうかと考えてみることも、大切でありましょう。
庭野日敬著『開祖随感』第6巻 112~113頁より