10/5 水

幸せを分かち合うマナー

ある方が、「ヨーロッパを旅行して地下鉄に乗ったら、前にすわっていた五、六歳の子どもがパッと立って席を譲ってくれて、びっくりしてしまいました。日本では考えられないことです」とおっしゃっていました。確かに、日本ではそういう光景はあまり見られないように思います。

戦前の教育の反動もあったと思うのですが、戦後の教育は、子どもを型にはめるしつけを民主主義に反するもののように考えて、なんでも自由にさせる方向に走りすぎたのではなかったでしょうか。しかし、人と人が一緒に生活していくこの社会には、人間として守らなければならない基本があるはずです。型にはめるのではなく、人を思いやり、人に親切にする行動を、いつでもパッとできるようにしてあげるのが、しつけだと考えたらどうでしょう。

人は周囲から切り離されると、精神的に不安定になってしまいます。独りぼっちには耐えられないようにできているのです。人と喜びを共にできることが、人にとっての最高の幸せです。そのためのマナーを身につけさせてあげるのは、大人のつとめでしょう。

庭野日敬著『開祖随感』より