本会の考え

閣議決定に対する緊急声明

閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」に対する緊急声明

政府は本日、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を発表し、日本が直接攻撃されていない場合であっても、密接な関係にある他国の武力衝突に自衛隊を派遣し、戦闘行為を認めるという集団的自衛権の行使を認めました。立正佼成会(以下、本会)は、平成 26年3月 10日、「日本国憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認に対する見解」を表明しました。今回の閣議決定に対しても、重ねて反対の意を表するものであります。

政府が発表した「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」では、「抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、我が国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠」と明記されています。これまでの政府の国会答弁によれば「武力行使を行うか否かは、時の内閣が総合的に判断」するものとしています。集団的自衛権として武力の行使を容認することは、「戦争」そのものを容認するものであり、かつ、時の一内閣による憲法解釈の変更によってこのような国家行為を容認することはとうてい許されるものではありません。

本会の庭野日敬開祖は、「猜疑がなければ、紛争も起こりえません。まことに、信頼こそは、人間社会成立の基礎となるものなのであります」と述べております。不信を払拭し、確かな信頼を醸成していく努力こそが、今何よりも重要でありましょう。

人類の歴史を顧みるとき、諸国民の間での疑惑、不信そして猜疑によってしばしば戦争が引き起こされました。私たちは、武力と戦争では「国民の命と平和な暮らし」を守れないことは学んだはずです。今こそ、この歴史の教訓を想い起こさねばなりません。真に平和と安全を構築するためには、寛容と互譲の精神で相手の違いを受け入れ、認め合い、信頼を醸成し、他者と共に生きる基盤を整備していかねばなりません。今、私たちに問われているのは、宗教はもとより、政治、経済、産業、メディア、学問、教育、文化、観光など多様な分野で信頼醸成の基盤を強化し、これを世界の平和と安全を実現するための最大の戦略目的とすることであり、ここにこそ日本の国際的役割があると信ずるものです。

釈尊は『法句経』の中で、「まことに、怨みは怨みによっては消ゆることなし。慈悲によってのみ消ゆるものなり」と教えています。暴力に暴力で対抗し、怨みに怨みで応じることは、新たな暴力、絶えることのない怨みの連鎖を生み出します。これは、いつの時代にもあてはまる「真理」であります。

本会は、これまで仏教の説く「不殺生」「非暴力」そして「慈悲」の精神を平和実現の第一義とし、国内外の諸宗教者はもとより、国境や地域の別を超え、あらゆる分野の人びととの交流と対話を深め、世界平和の実現に努めてまいりました。私たちは、今後ともこの努力を重ねるとともに、日本国憲法のもつ平和の力を信じ、世界に向けて発信していく決意を新たにしております。

以 上
 

平成26年7月1日
立正佼成会

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