本会の考え

日本国憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認に対する見解

近年、「憲法改正」論議が高まりを見せる中で、立正佼成会(以下、本会)は、平成17年12月1日に「憲法改正に対する基本姿勢」、平成24年11月11日に「『憲法改正』に対する見解~憲法の『平和主義』を人類の宝に~」を通して本会の見解を表明しました。

その後の急激な情勢変化の中で、現政府は憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認に向けた歩みを進めています。しかし、ひとたび集団的自衛権の行使が認められれば、専守防衛を責務としてきた自衛隊が地域紛争や国家間の戦争などに直接関与し、武力を行使せざるを得ない危険性が生じます。
本会は、こうした事態に対して深く憂慮し、ここに改めて見解を表明するものであります。

日本国憲法を「改正」するためには、その第九十六条に定められているとおり、最終的に国民に判断を委ねる国民投票が必要条件とされています。もちろん、憲法の解釈は日々発展すべきものであり、変更も否定されるべきではありません。しかしながら、憲法の基本原則たる「平和主義」のあり方については、政府自身による解釈が長年にわたり維持され、かつ、それが国民や国際社会に広く受け入れられてきました。このような憲法の基本原則について、政府の解釈変更によって集団的自衛権の行使を容認
しようとすることは、国民の意思確認を軽視する非民主的政治プロセスであり、近代国家の大原則である立憲主義を否定するものであります。

平成11(1999)年5月、オランダ・ハーグで世界から1万人の市民、国連事務総長、各国政府代表が参加して開催された「ハーグ平和アピール世界市民平和会議」において、「公正な世界秩序のための基本十原則」が発表されました。その第一項には、「各国議会は、日本国憲法第九条のような、政府が戦争することを禁止する決議を採択すべきである」と明定されています。こうした世界の声こそが人類の願いであり、戦後六十有余年にわたり憲法の「平和主義」を堅持し、世界の平和に貢献してきた日本の誇りであります。

憲法前文は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」と謳っています。立憲国家たる日本の舵取りを担う現政府は、日本国憲法第九条の理念を深く認識し、非暴力による平和の実現に向け、最大限の努力をするよう強く要望します。

本会は、不殺生・非暴力の精神に基づく仏教教団として、これまで国内外の宗教・政治・経済・文化などの指導者ならびに草の根レベルでの市民との対話・協力を推進し、平和のために努力を重ねて参りました。これからも国や民族、宗教や文化の相違、そしてまた異なる立場を乗り超え、他者と共に生きる平和世界の実現に向けて取り組むことを誓うものです。

以 上

平成26年3月10日
立正佼成会

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