本会の考え

「憲法改正」に対する見解~憲法の「平和主義」を人類の宝に~

本会は、平成17年12月1日に『「憲法改正」に対する基本姿勢』を発表しました。ここに改めて、本会の考えを明らかにしたいと思います。

現在、政界を中心に「憲法改正」の論議が高まりを見せています。論議の中には、これまでの平和主義を脅かす内容も見受けられます。憲法の改正は、国のあり方や将来の世代に大きな影響を及ぼすことから、広い視点に立った国民的議論が必要です。

第二次世界大戦では、300 万を超える日本人、アジアで 2000 万、世界全体で 5000 万にのぼる人々の尊いいのちが失われました。自然・社会環境も破壊されました。この悲惨な経験を歴史的教訓とし、二度と同じ過ちをおかさないとの固い決意により、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を基本原則とする日本国憲法が制定されました。

現憲法の前文において、「日本国民は、恒久の平和を念願し、…(中略)…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」しました。私たち日本国民は、世界のすべての人々が恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を持っていることを確認し、自国の利益にとどまるのではなく、人道的な立場から世界全体の幸せ、言わば「人類益」「地球益」を追求していくことにより名誉ある地位を占めたいと誓ったのです。

民族や国家、文化や宗教は異なるとも、人類は「地球」という大きな一つの乗り物に乗った兄弟姉妹です。兄弟姉妹が憎しみ、争うことほど愚かなことはありません。武装は相手への不信の表れであり、力に頼れば頼るほど不信感は大きくなります。「万が一の備え」を理由として、軍事力と、その行使権を拡大していくことは、他国との間に緊張関係を招きかねません。私たち日本人には、軍事力に代わる平和の保障をつくりだしていく知恵と行動が求められています。政治、経済、文化など多岐にわたる分野の積極的な国際活動を通して、相互の偏見や不信を取り除くとともに、貧困や人権侵害、環境破壊といった平和を阻害する要因の解決に取り組み、平和の創出に最大限の努力を図っていくことが何よりも必要です。

世界から戦争をなくしていくには、自分の尊さを自覚して、すべてのいのちの尊さに思い至る「内なる平和」を一人ひとりの心の中に築いていかなければなりません。その意味で、本会は、平和主義の象徴である憲法前文や第9条こそ、「全人類の願いであり、日本の誇りである」と考えています。国や民族の違いを超えて互いに出会い、対話し、理解し合い、信頼を醸成しながら、知的及び精神的連帯を強める――こうした共に生きる世界を目指した国づくりを進めることは、人類の進むべき真の方向です。

現憲法の平和主義は、「単なる理想」ではありません。これこそ、戦争を禁止して、すべてのいのちの尊厳を守り、公正な世界を実現する現実的な手段です。本会は、この憲法の平和主義を世界に広め、「人類の宝」にしていかなければならないと信じるものであります。

 

平成24年11月11日
立正佼成会

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