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2001年05月12日 京都で「庭野平和財団シンポジウム2001」開催

『京都発:宗教者の新たなチャレンジ/赦しと和解』をテーマに、庭野平和財団(庭野日鑛総裁)は5月12日、立正佼成会京都教会に市民や会員など350人を集めて「庭野平和財団シンポジウム」を開催しました。

庭野平和財団では、宗教者による具体的な取り組みを模索するため、今年から『京都発:宗教者の新たなチャレンジ』をメーンテーマにシンポジウムを開催します。今年のサブテーマは「赦しと和解」です。
シンポジウムでは、庭野欽司郎・同財団専務理事のあいさつに続いて、「第18回庭野平和賞」の受賞者、エリアス・チャコール師が基調発題。そのあと、李仁夏(い・いんは)師=在日大韓基督教会川崎教会名誉牧師=をコーディネーターに、チャコール師、高橋昭博氏=元広島平和記念資料館館長、黒住宗道師=黒住教副教主、根本昌廣氏=特別非営利活動法人JEN理事・本会渉外課長=がパネルディスカッションを行いました。
チャコール師は、パレスチナ人キリスト教徒(メルキト派)の両親のもとに生まれ、8歳の時、ユダヤ人入植者に村を追われ避難民となりました。その絶望を乗り越え、自身の尊厳を守る力となったのが「赦す」ということでした。
基調発題で同師は「私たちは"いのちの子"として生まれたのです」と、いのちの尊厳性を明示。「残虐な行為は忘れられませんが、すべての人が美しく生まれたのですから、赦すことができます。差別、迫害を受けようとも、理解し合うことによってのみ、自他の違いを乗り越えていけるのです」と力説しました。
パネルディスカッションでは、パネリストがそれぞれの立場から「赦しと和解」の体験を発表しました。
14歳の時に広島で被爆した高橋氏は、原爆を投下したエノラ・ゲイ号の機長、ポール・チベッツ氏と1980年に握手を交わした体験を披露し、「憎しみは憎しみによって消すことはできない」と訴えました。
黒住師は「RNN人道援助宗教NGOネットワーク」の取り組みの中から「赦しと和解」のヒントを抽出。「思想・信仰の違いを超え、共通の課題に取り組む"共働"によって、信頼が生まれる」と話しました。
また、根本氏は「わが子のためにセルビア人に対する憎しみを捨てます」と話したクロアチア人女性との出会いを紹介したあと、「歴史を正しく認識し、その上で赦していく、赦しを請うていく。そのために果たしえる役割が宗教の中にあるのです」と、宗教者の役割に言及。「宗教者のチャレンジは、地球に住む家族が仲良く暮らすために、無関心、傍観者であることを捨て、世界の不条理に立ち向かっていくこと」と話しました。

(2001.05.20 記載)