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2001年10月05日 「多発テロ犠牲者追悼緊急平和学習会」を開催

米国同時多発テロ事件の犠牲者を追悼すると共に、現状の国際情勢を正しく理解し、宗教者としての役割を確認することを目的とした「多発テロ犠牲者追悼緊急平和学習会」が5日午後7時から、法輪閣大ホールで開催され、首都圏各教会の会員、教団・事業体の職員など約900人が参加しました。席上、眞田芳憲・中央大学教授が『イスラーム原理とテロリズム――緊迫した国際情勢と宗教者の役割』をテーマに講演しました。

学習会では最初に、参加者全員で追悼の祈りを捧げました。『佛教根本聖典』から抜粋した「祈りの言葉」が唱和される中、参加者代表30人が献灯を行い、犠牲者の冥福とテロによる惨禍が二度と繰り返されないことを祈念しました。
続いて、眞田芳憲・中央大学教授が『イスラーム原理とテロリズム――緊迫した国際情勢と宗教者の役割』をテーマに講演。眞田教授は、啓典であるクルアーン(コーラン)とスンナ(ムハンマド=マホメット=の言行録)に基づいたイスラームの行動原理を解説。政教一致のイスラームの国家観、唯一神アラーの守護に感謝が深く、敬虔な民衆の生活様式や共同体意識などを詳述しました。
また、パレスチナ問題、原理主義などイスラーム世界をめぐる歴史をひも解きながら、西欧との関係にも言及。その上で「キリスト教世界とイスラーム世界との和解には、『異体同心』といった仏教の寛容な智慧を伝えていくことが大切」と仏教徒の役割を強調しました。
質疑応答のあと、畠山友利ニューヨーク教会長が、現地の報告を行いました。畠山教会長は、電話、ファクス、Eメールなどによるサンガからの励ましに謝意を表したあと、「アメリカでは現在も精神的なショック状態が続いており、『このようなときには、仏教では何を説いているのか』と求めてくる人もいます。私たちは会長先生の教えをかみしめ、自らの中にある怒りや偏見、不寛容の心を真摯に見つめていくことから、一歩ずつ取り組みの努力をさせて頂いています」と語りました。
最後に、酒井教雄理事長が謝辞に立ち、「会長先生は緊急談話の中で、『報復』や『復讐』を超えた宗教的な智慧ある対応を、と話されています。私たちは、今日学んだことをしっかりと受け止め、このような世界的な問題に対しましても、正しい、冷静な気持ちで取り組みを進めてまいりたいと思います」と述べました。

(2001.10.10記載)