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2002年04月08日 WCRP国際執行委員会がイスラエル・パレスチナ紛争に関する声明を発表

WCRP国際執行委員会がイスラエル・パレスチナ紛争に関する声明を発表
WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会執行委員会は4月8日、イスラエル・パレスチナ紛争に関する公式見解を明らかにする文書(声明)を公表しました。この声明は、同国際委実務議長のハッサン・ビン・タラール・ヨルダン王国王子、同副議長のレオナルド・キシコフスキー神父、庭野日鑛会長など同執行委のメンバー13人の連名で発表されたもの。宗教者としての役割に言及しながら、紛争の早期終結と、イスラエル、パレスチナの和平に向けた各方面の迅速な対応を呼びかけています。

WCRP国際委員会は1月、エジプトのアレクサンドリアで、ジョージ・ケアリー英国国教会カンタベリー大主教のイニシアチブによって開催された中東3大宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム)の指導者による「アレクサンドリア和平会議」を後援しました。また、WCRPイスラエル委員会が英国の3宗教フォーラム、キリスト教・ユダヤ教国際評議会と協力し、世界の諸宗教者と政治家に対して行った緊急アピールにも携わってきました。昨年9月の米国同時多発テロ事件以後、WCRPは、さまざまなチャンネルを通じて、中東和平に向けた活発な宗教外交を展開しています。
今回の声明は、緊迫するイスラエル・パレスチナ情勢を受け、4月8日付で執行委員13人の連名で発表されたもの。国連ニューヨーク本部付の世界各国代表部、アナン国連事務総長、ブッシュ米国大統領、EU(欧州連合)、WCRP各国委員会に送付されました。
声明では、一切のテロや国際的な殺戮行為を非難すると共に、国際的に認められた国境を策定した上でパレスチナ国家の建設、イスラエル国家の国際的な認知が必要だと言明。政治指導者の交渉だけでなく、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの文明諸伝統が、平和構築のための主要な財産であると訴えています。

WCRP国際委員会執行委員会声明(仮訳全文)

聖地における無実の人々の苦悩と、正義を基盤とする和平を求める叫びが、世界中の人々の心をとらえて離さない。
世界の諸宗教者を代表し、われわれWCRP(世界宗教者平和会議)国際執行委員会メンバーは、その総意として、個人によるものであれ国家によるものであれ、テロ行為や罪なき人々の殺戮を拒絶する。われわれは、また、イスラエルとパレスチナの人々が隣人同士、共に平和と安全のうちに生きる権利を有するという一致した信念のもとにある。このような権利が実現するためには、パレスチナ国家が建設され、またイスラエルが国家として存在する権利が承認された上で、安全で国際的に認められた両国の国境が定められなければならない。
したがって、われわれは第一に、イスラエルとパレスチナの指導者に対し、現在行われているイスラエル軍によるパレスチナ自治区の軍事的占領を終結させ、あらゆるテロリズムを拒絶し、非難し、また正式な停戦と公正かつ永続的な平和の樹立をめざした政治交渉の開始に向け、ただちに共働することを求める。
第二に、われわれは、アラブ連盟諸国が先ごろ提示した建設的な和平計画案、パレスチナ国家の樹立およびイスラエルとの正常な関係に向け諸条件を示した案、に感謝の念をもって注目している。われわれは、この和平案の達成に向けて取り組んでいるあらゆる関係団体を激励し、支援を表明するものである。
第三に、われわれは国際連合に対して、その権限を発動し、可能な限りの手段を活用することにより、ただちに平和実現のために必要な措置を講ずるよう求める。
第四に、われわれは世界中のすべての国家に、平和のための条件を確立し支持する調停役を担い、さらなる紛争の悪化をもたらす行動をとらないよう求める。
第五に、われわれは特にアメリカ合衆国に対し、イスラエル、パレスチナ双方への公正を保証しつつ、国家の能力に相応した平和構築のための役割を遂行することを求める。我々は同国のコリン・パウエル国務長官の使命が達成されることを期待し、支持を表明する。
政治指導者は、聖地の人々のために、あらゆる種類の暴力をやめさせ、和平プロセスを構築する主要な役割を果たさなければならない。彼らはあらゆる支援を必要とし、それを受ける資格を有する。しかしまた、政治指導者の果たす役割は不可欠ではあるが、十分ではない。政治的な貢献に平行して、この地域の深遠なる文明の伝統による政治的指導者の擁護、彼らへの助言や支援も欠かせない。その伝統とはイスラーム、キリスト教、ユダヤ教のアブラハムを祖とする三つの宗教である。これら三つの伝統は、決して分断をもたらす源としてではなく、平和構築の主要な財産としてとらえられねばならない。この財産の導入は緊急に、しかも長期的に必要である。
この意味において、われわれは、今年一月エジプト・アレクサンドリアで初めて顔を会わせた、聖地のユダヤ教、キリスト教、イスラームの同朋の勇気ある指導力に賞賛を送るものである。彼らは、正義と平和のための宗教協力と共生に向け献身した。我々は、彼等の平和への使命に連帯することを誓う。そして、世界の宗教者と善意ある人々に、公正で永続的な平和に向けたあらゆる活動を支援することを求めるものである。

(2002.04.24記載)