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2002年05月07日 WCRPとユニセフがニューヨークでシンポジウムを共催

国連子ども特別総会の前日にあたる5月7日、WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会とユニセフの共催によるシンポジウム「子どもに対する宗教者の挺身」が、同総会の正式サイドイベントとして米国・ニューヨークのキャリッジハウスで行われました。世界の宗教者が子どもの問題に一丸となって取り組むことを表明するためのもので、諸宗教指導者、国連関係者、NGO(非政府機関)代表ら約100人が参集しました。立正佼成会からは庭野日鑛会長の名代として酒井教雄参務が参加。パネリストの1人として「子どもたちに手をさしのべることは世界を救うことになる」と話し仏教精神を示しました。

国連子ども特別総会は、8日から11日未明(現地時間)にかけて、ニューヨークの国連本部で開かれました。1990年の「子どものための世界サミット」で決められた行動計画の達成度を確認し、今後10年間の新たな行動計画を採択しました。
90年の「世界サミット」は、国連総会(89年)で採択された「児童の権利条約」の批准を促し、子どもの問題が90年代の政治的最重要課題として取り上げられることを目的として行われたものです。ユニセフは当時、その気運の高まりを民間組織の中にも期待し、WCRPに「子どものための世界宗教者会議」(90年、米国・プリンストン大学)の開催を依頼しました。
WCRPとユニセフの協力関係はそれ以来のことです。子ども特別総会の正式サイドイベントとして共催によるシンポジウムが開かれたことは、現実課題への具体的なアプローチを創設以来の精神としてきたWCRPに対する最上級の信頼を表しています。
ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長はシンポジウムで、「計画を行動に移す中心となるのが宗教者であり、子どもの問題に対し宗教者は不可欠です。話し合いを重ね、一般の人々の参加を得て世界中で取り組んでいきたい」と宗教者との連携を表明しました。特別総会のハン・スンク・スー議長も「宗教者が一丸となって共同の立場を表したことに大きな意義があります」と語りました。
WCRPでは、アフリカのエイズ孤児の増加を食い止め救済しようと、全土に広がる教会やモスクなどの宗教コミュニティーを利用したプロジェクトを計画しています。
WCRP国際会長の1人でノルウェー国教会オスロ大主教のグナ・スタルセット師は、「エイズで両親を亡くした子どもの数は1200万人といわれ、2010年には3000万人になる可能性があります。宗教指導者が中心となってエイズ孤児のために積極的に取り組んでいきたい」と話し、そのためのWCRP会議が6月、ケニアのナイロビで開かれることを発表しました。
酒井参務は、エイズ孤児など世界の子どもの問題は、子供が身をもって世界の問題を示してくれる姿だとして『童男、童女の身を以って得度すべき者には、即ち童男、童女の身を現じて為に法を説き』という『妙法蓮華経観世音菩薩普門品』の一節を紹介しました。その上で、「傷つき、悩み、苦しむ世界の子どもたちは、この病んでいる世界の象徴です。子どもたちに手をさしのべることは世界を救うことになるのです」と述べました。

(2002.05.22記載)