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2002年10月10日 WCRPの支援でカンボジアに初の諸宗教組織が発足

カンボジアに初の諸宗教対話・協力組織が誕生しました。「カンボジア諸宗教評議会(CIC)」。WCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会の国際支部の性格を持つもので、今後正式な手続きを経て、WCRPカンボジア委員会として活動を展開します。10月10日には、プノンペン市内のチャムトック会議場で「発足式」が行われ、WCRP国際委員会会長でもある庭野会長が列席。国連諸機関代表者らと共に祝辞を述べました。同評議会の発足は、内戦の影響を受けてさまざまな課題を抱えているカンボジアにとって、国家復興に大きな役割を果たすものとして期待を集めています。

CICは、WCRP国際委員会の支援を得て、2000年初頭から発足準備が進められてきました。SVA(シャンティ国際ボランティア会)出身で同国宗教省顧問を務めるイー・トン氏(CIC暫定事務総長)が、1999年、WCRP7(第7回世界宗教者平和会議、ヨルダン・アンマン)に初めて参加。その際、WCRPカンボジア委員会の立ち上げを決意しました。以降、杉野恭一・WCRP国際委員会事務総長補(本会から出向)と共に、上座部仏教の大僧正、イスラム教、キリスト教指導者、国連諸機関、NGO(非政府機関)代表らに働きかけを続け、今年6月のACRP6(第6回アジア宗教者平和会議、インドネシア・ジョグジャカルタ)には、仏教、キリスト教、イスラム教指導者からなる代表団を派遣するまでにネットワークが強まりました。
カンボジアは、国内に貧困、人権、環境、エイズ、地雷、小規模銃器などの共通課題を抱えています。それらの解決に向け、諸宗教が潜在能力を出し合い、また政府、国連諸機関、NGOとのパートナーシップを生かして取り組んでいくことがCICの目標です。
さらに今回のCIC発足は、国連諸機関の関係者から「諸宗教評議会の発足自体が、将来起こりうる宗教紛争、それに起因する政治紛争の阻止につながる」「国際的な安全保障に貢献する」との評価も得ています。WCRP国際委員会では、今後、ラオス、ベトナム、ミャンマーなどでも同様の諸宗教評議会発足を目指していく意向です。
「発足式」は、200人の仏教徒、200人のイスラム教徒、100人のキリスト教徒が集う中で開催されました。
チョン・イアム宗教省次官、ウイリアム・ベンドレイWCRP国際委員会事務総長がそれぞれあいさつしたあと、仏教、イスラム教、キリスト教の最高指導者6人が、CIC発足に向ける思いを語りました。
その中で、同国仏教マハニカイ派最高指導者のテップ・ヴォーン法主は、「本日の式典は、異なる信仰を持つ国民同士の団結を促し、政府、国連、NGOをパートナーとしてカンボジアに安定をもたらしていこうという、歴史的な出来事が実現した記念すべき日なのです」と語りました。
またシアヌーク国王のメッセージをコン・ソム王宮付大臣が代読。シアヌーク国王は、「皆さまの努力を高く評価します。本日は、全ての宗教が団結を強めていく扉を開く機会です。非暴力、慈悲、寛容の道を歩んでいってください」と期待を寄せました。
共同宣言文の公式署名に続き、駐カンボジアのカナダ大使、ユニセフ大使、ユネスコ大使、UNAIDS(エイズ国連共同プログラム)国策アドバイザー、カンボジア人権・開発協会会長、庭野会長がそれぞれ祝辞。庭野会長は、「私どもは、WCRPによる宗教協力の経験を通して、各宗教、各コミュニティー同士の協調がいかに大切か、とりわけ具体的な問題の解決のために共に働いていくことがいかに重要かを感じ取ってまいりました。その意味で、本日発足したカンボジア諸宗教協議会が、平和実現のために、宗教の持つ実践的で根源的な力を発揮する手足となり、カンボジアの発展、そして和解のために貢献してくださると確信しております」と述べました。
式典は最後に、山田能裕・WCRP日本委員会代表団団長が閉会あいさつを述べ終了しました。
なお、WCRP日本委は、CIC立ち上げ資金として、平和開発基金から今後3年間、各年度100万円ずつの支援を決定。式典後、贈呈式も行われました。

(2002.10.16記載)