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2003年03月14日 立正佼成会一食平和基金の平成14年次運営報告を発表

「立正佼成会一食平和基金」の昨年次(平成14年次)運営報告が、このほど同基金運営委員会(委員長・松原通雄外務部長)から発表されました。支援総額は4億3258万979円。国内外90のプロジェクトに充てられました。

「立正佼成会一食平和基金」が、「一食を捧げる運動」による会員からの浄財をもとに、昨年実施した90のプロジェクトのうち、他団体と協力して活動を行う「合同プログラム」には1億5311万4782円を支援しました。「アフリカへ毛布をおくる運動」、「エチオピア植林プロジェクト」など7件に充てられました。「ゆめポッケ・キッズキャンペーン」や「会員ボランティア派遣」など、本会が独自に企画・立案し、実施する「自主プログラム」には6397万6892円が支出されました。
一方、外部団体のプロジェクトを支援する「資金助成」への支出は、2億1357万7096円。(1)一般助成(2)庭野平和財団助成(3)宗教協力助成(4)特別助成(5)国連助成(6)災害等緊急支援に分類され、世界34カ国、76のプロジェクトに充てられました。
「一般助成」の対象団体は運営会議で審議。(1)広く市民に開かれており、活動が多くの人に支えられ、継続的に展開されている(2)社会問題や世界平和に積極的な関心を持っている(3)他団体とのつながりを重視し、積極的にネットワークづくりに努力している(4)将来的に自立を目指している、などの基準をもとに選定した団体およびプロジェクトに支援が行われました。
災害等緊急支援は、アフガニスタン、パキスタン両国の難民に支援された2万枚の毛布の輸送費をはじめ、昨年5月、600人以上の死傷者を出したモザンビークでの列車事故に対する義援金など7件に2265万4197円が支出されました。

一食平和基金支援団体代表者の声

特定非営利活動法人『アフリカ地域開発市民の会(CanDO)』

私たちは5年前に産声を上げた団体です。アフリカ・ケニアで、主に教育、環境保全、保健医療分野への支援を行い、現地の人々と協力して豊かな社会の構築を目指しています。現在、同国中央部に位置するムインギ県ヌー、ムイの両郡で、小学校の教室建設や教員の研修、出産適齢期の女性を対象とした基礎保健トレーニングなどに力を注いでいます。
活動の主体は現地の住民です。例えば、教室の建設では、私たちが資材となるレンガやセメントを提供し、子供たちの保護者が中心となって建設作業にあたっています。将来は、住民だけで、プロジェクトを展開できるよう、自立してほしい。その基礎作りが、私たちスタッフの役割でもあります。
現地の人材や資源を最大限に生かし、今後も継続的に活動ができるよう努力したいと思います。

(財)国際障害者年記念ナイスハート基金

モンゴルは、障害者福祉が他の国に比べて極めて遅れています。専門家も少なく、医師も知識が乏しいため、障害を持って生まれた子供への適切な「療育」がなされず、障害者が社会から孤立した状態にあります。私たちは、日本から医師や作業療法士、理学療法士などを現地に派遣し、障害の程度に応じた治療や障害者の住みやすい環境整備などのノウハウを現地の医療関係者などにお伝えするとともに、現地から日本に招聘し、現状を学んで頂いています。その資金として、一食平和基金を使わせて頂きました。また、中途障害者のための義肢義足製作所の設立、現地での療育セミナー開催、障害者同士の国際交流を図ろうと、昨年は日本の障害者の方々とモンゴルを訪れ、文化交流を行いました。障害があったとしても、私たちと同じ尊いいのちが尊重される世界を目指し、今後もモンゴルでの障害者支援に取り組んでいきます。

幼い難民を考える会

私たちは「保育事業」と「織物事業」の二つのプロジェクトを継続して行っています。30年余続いた内戦の終結から10年。カンボジア国内は依然、貧富の差が激しく、子供たちは教育を受けることが困難です。また、貧しい農村では、栄養状態の悪化から、いのちを落とす子供や発育が遅れている幼児がたくさんいます。現在4カ所の保育所を作り、園児たちに給食を与え、子供たちが楽しんで教育を受けられる場を提供しています。保育所のスタッフも村の人々を採用し、専門知識を身につけて頂いています。
一方、「織物事業」は、女性たちの自立支援と同時に、ポル・ポト政権によって破壊された伝統の織物技術を復刻させ、継承していくことも視野に入れています。 皆さんからの支援は、カンボジアに生きる人々のいのちを守るとともに、再び文化を取り戻す一助となっています。

神谷昌道・本会一食平和基金事務局長談話

「一食を捧げる運動」について、開祖さまは「いつでも、どこでも、だれでもが、いつまでも続けられる平和の実践」であるとご指導くださり、世界中の人々が一緒に生きていくためには「痛みを分かち合い、喜びをともにする"共感の能力"が欠かせない。共感は互いが同じであることを確認させ、人と人とを結びつける」と述べておられます。一食の心とは、まさにこの言葉に集約されると思います。「同悲」「祈り」「布施」に込められた一食運動の基本精神のもと、私たちは月に数回、一食を抜いて献金をさせて頂くなかで、貧困や飢えなどに苦しむ人たちに思いを馳せ、一日も早くだれもが平和に暮らせるよう祈りを捧げます。この運動の尊さは、私たちの日常生活の中で世界の人々の幸せを願うところにあります。一人ひとりの善意を具体的な形に表し、諸活動に反映させ、世界の人々のために貢献する。私たちはこの運動を通して、同じ地球に生きるサンガとしての一体感を味わい、平和への願いを結実させているのです。
利他の精神を心に深く宿して生まれてきたという人間観を念頭に、会長先生は、「『一食を捧げる運動』は、仏の本願と結ばれた運動であります」とご指導くださっています。まさしく一食運動とは、平和境を建設するための菩薩行のひとつであり、広い意味での布教伝道といえるのです。
一食運動は今年で28年目を迎えます。皆さまからの浄財は「立正佼成会一食平和基金」運営委員会によって、私たちと同様に世界の人々の幸せを願い、世界各地で活動に従事している個人や団体に助成され、国連はじめ各団体とのパートナーシップの中で、世界的な規模で展開される諸活動に生かされています。昨年、会員の皆さまから寄せられた浄財は、90プロジェクトに役立てられました。心からお礼申し上げます。
一人ひとりの善意は、世界平和への大きなうねりとなっていくと確信しています。地球上の"兄弟姉妹"と私たちが真に共生していくために、心を込めて一食運動に取り組ませて頂きたいと思います。

(2003.03.14記載)