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2003年11月29日 WCRP日本委が「平和大学講座」を開催

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催による「平和大学講座」が11月29日、『北東アジアにおける平和の共創――相互理解と自己変革を通して』をテーマに東京・代々木の神社本庁大講堂で開催され、宗教者や市民など約140人が参加しました。

同講座は、平和に向けた諸問題について宗教者と一般市民が共に学ぶもので、年1回開かれています。講座ではまず、奈良康明・駒沢大学総長(曹洞宗総合研究センター所長)が基調発題を行い、宗教的対話のあり方と「共創」の概念について説明しました。
奈良氏は、宗教者がそれぞれの信仰を基本にさまざまな問題を話し合い、相互理解を深めながら、自分自身の信仰観、生き方を見つめ直す「自己変革」のプロセスが宗教的対話であるとした上で、「対話が一部の人たちによるサロン的な集まりに終わることなく、宗教を持つ人が互いの個性を発揮し、調和を保ちながら具体的な社会的実践に踏み出すことが『共創』ではないか」と述べました。
続いて、国際政治軍事アナリストの岩島久夫氏が『北東アジア非核・共生システム:一つの提言』と題して講演しました。岩島氏は、強大な軍事力を背景にした米国の「力の外交」が世界の平和を乱す要因になっていると指摘した上で、北東アジア情勢に言及。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、韓国、日本に米国、ロシア、中国を加えた6カ国による「北東アジア非核地帯設置」構想を提言し、同地域での非核化政策を基本に、北朝鮮に対して協調・対話路線を保ちながら、非核・共生システムを構築することが重要であると強調しました。
このあと、眞田芳憲・中央大学教授をコーディネーターに、薗田稔・秩父神社宮司、J・マシア・上智大学教授(イエズス会司祭)、奈良氏、久島氏によるパネルディスカッションが行われ、共生と共創の概念の違い、対話を通した慈悲、愛の大切さなどについて意見が交わされました。

(2003.12.05記載)