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2003年12月06日 中央学術研究所主催「寺子屋講座」特別講演会

中央学術研究所が主催する「寺子屋講座」の特別講演会が12月6日、佼成図書館視聴覚ホールで行われました。『人生の夢を追いかけて――漫画にかけた青春』をテーマに漫画家の古谷三敏氏が講演。40人が参加しました。

古谷氏は、手塚治虫氏、赤塚不二夫氏のアシスタントを経て漫画家としてデビューしました。昭和45年、『ダメおやじ』が大ヒット。現在は、酒をテーマにした『BARレモンハート』が中高年を中心に人気を呼んでいます。一つの事象を取り上げ、知識や情報を盛り込んだ漫画は「うんちくマンガ」と呼ばれ、古谷漫画の代名詞になっています。
講演の中で古谷氏は、漫画家になる原点が小学5年生のときに読んだ手塚氏の『新宝島』であることを紹介。「手塚先生は初めて映画的手法で漫画を描いた人。その迫力は、私の人生を決めてしまうぐらいのインパクトがあったんです」と語りました。その後、手塚氏のアシスタントとなり、深夜に及ぶ仕事にプロの厳しさを知った体験などに触れ、青春時代を振り返りました。
『ダメおやじ』のヒットについては、「高度経済成長の時代で、父親の権威の失墜や女性の社会進出が目立ち始めたころでした。やじを笑うことができる社会環境があり、人気を集めたのでは」と分析。一方、現在は、中高年男性を取り巻く環境の厳しさが漫画の人気に大きな影響を及ぼしていることを挙げ、「最近、再び『ダメおやじ』を連載しましたが、人気は出ませんでした」と述べました。
また、今年、66歳を迎えた古谷氏は、「そろそろ人生を見直してもいいかなという思いがあり、人生の糧となるような漫画を描いてみたい。生きていく上で、本当に幸せなことは何か。そうしたことをギャグを取り入れながら、描けないか考えています」と述べました。
このあと、北貢一・元同研究所所長と小池俊雄・東京大学教授が加わり、3人による座談会が行われました。

(2003.12.12記載)