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2004年02月07日 教育者教育研究所が「設立35周年記念大会」を開催

教育者教育研究所(長本晃一所長)が創設35周年を迎え、その記念大会が2月7、8日、法輪閣で開催されました。大会には、河村建夫・文部科学大臣、庭野日鑛会長が出席し、現職教師ら約800人が参集しました。

教育者教育研究所は、仏教真理に基づいた教育の実現を目指し、昭和43年、庭野日敬開祖の提唱により創設されました。以来、全国の教育関係者を対象とした学習会や研究大会の開催をはじめ、地域別学習会、教育相談活動などを通してさまざまな教育課題に取り組んでいます。
これらの活動は、単に問題解決を目的とするのではなく、問題を通して、教師自らが人間性の向上を図り、よりよい教育を実現することを目指しています。こうした活動理念は多くの教師に受け入れられ、現在、約1500人に上る教師が全国の同研究所で活躍しています。
大会の冒頭、35周年を祝し、あいさつに立った庭野会長は、「教育」の意味に触れ、「本来、教育とは、父親と母親が子供に施すと言う意味があります。しかし、今日、それだけではなかなか足りない状況があり、親の教育の上に、さらに教師がいろいろなことを子供たちに教えていくことが大切」と語りました。また、「研究所が積み重ねてきた成果が、教師の方々によって教育現場で生かされますよう期待いたします」と参加者を激励しました。
次いで、河村文部科学大臣が来賓を代表して祝辞。河村大臣は「知育、徳育、体育に加え倫理観、道徳観を養い、日本人としての誇りを持った人間を育むことが大切」としたあと、教育基本法の改正をめぐる基本的考えを説明しました。
このあと、1日目のテーマである『教育基本法を考える』のもと、現在、改正の是非が問われている「教育基本法」について、市川昭午・国立学校財務センター名誉教授と高橋史朗・明星大学教授が対論を行いました。
2日目には、テーマに『現場からの今日行く改革』を掲げ、現職教師2人が実践発表。続いて東京都で初の民間人中学校長であり、「[よのなか]科」を提唱する藤原和博・杉並区立和田中学校校長が『[よのなか]科の実践から見えてきた教育の未来』と題し、講演しました。
藤原氏は、席上、[よのなか]科の模擬授業を展開。参加者に「ハンバーガー屋の店長だったら、どこに出店しますか」と投げかけ、住宅街、交差店、などいくつかの案を提示。地図上で出店地を選択させるなどロールプレイを行いました。
藤原氏は、「住宅街は昼間人口が少なく店の稼働率が低い、交差点や三叉路は利便性がいいなど、地図から情報を読み取り、組み合わせて物事を考えられる能力を『情報編集力』といいます。これからの社会に必要な力です。[よのなか]科で子供たちは、自分を主体として社会を見ることで、この『情報編集力』を身につけ、世の中と自分との結びつきを学ぶのです」と述べました。
最後にあいさつに立った長本所長は、教育基本法と教育現場での具体的実践という2つのテーマを掲げた今大会の主旨について、「教育を改革していこうとするとき、人間の心を変え、行いを変えるという私たちの善意だけでは、急速な時代の変化に対応できません。もちろん、教育が掲げる理念に現実を近づけていくためには、教師一人ひとりが変わらなければならなりません。しかし、それと同時に、教育をめぐる制度やその社会背景にも関心を持つことが不可欠です」と述べ、今後、心の改革に加え、教育制度にも意欲的にかかわっていく方針を明示しました。

(2004.02.13記載)