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2004年03月12日 イラン大地震で支援活動を行う特定非営利活動法人ジェンスタッフが一時帰国

イラン大地震の被災者に対し、立正佼成会一食平和基金の支援を受け、1月9日から支援活動を展開している特定非営利活動法人ジェン(JEN)。一時帰国した玉利清隆・東京事務局スタッフに現地の様子を聞きました。

問:被災地となったケルマン州バム市周辺での被災者の様子、支援活動の状況などを教えてください。

イランの赤新月社をはじめ、国際機関や各国の支援団体の迅速な援助活動により、ほとんどの被災者のもとにテント、毛布、食糧といった必要最低限の物資が行き届いています。イラン政府は、緊急的支援の段階はほぼ終わり、今後は復興支援の段階に入ると認識しています。実際、支援団体も、テントで診察するといった緊急的な事業から、病院の修復、仮設住宅の提供といった中長期的な活動内容に移行しつつあります。
人々の暮らしも、テント生活という厳しい状況下ですが、徐々に改善されています。1月中旬にはテントに電気が通り、テレビを楽しめるようになりました。しかし、冷蔵庫や洗濯機などを稼動させるまでの電力はなく、地震前に比べれば生活は不自由なままです。
さらに現時点で問題なのは、バム市の中心部と少し離れた地域とでは援助に差があることです。ジェンは、バム市から東へ5キロ離れているため、援助団体が入っていなかったバラボット地区で支援活動を行っています。

問:簡易シャワーとトイレの設置を支援していますが、現地でのニーズが高かったのですか。

現地入りした時、地震発生から2週間が過ぎていました。他の支援団体が手が回らず、かつ被災者が最も求めていたものが簡易シャワーとトイレの設置でした。ほとんどの人が2週間以上、シャワーを浴びることができず、シラミが発生し始めていたのです。また、体を清潔に保てないことが人々に精神的な苦痛を与えていることも分かりました。
幸い、現地では、家庭用の湯を沸かすボイラーが被害を免れ残っていました。住民の方にそれを提供して頂き、資材の運搬から配管工事、レンガ敷きなど地元の人と一緒に、簡易シャワーを設置しました。
現地の気温は、日中だと20度を超え、乾燥で体がかゆいほどです。これからはさらに陽射しも強まり、テント生活ではシャワーは必需品です。今回、迅速に支援活動を行うことができたのは、一食平和基金から「調査費」として頂いた資金を「支援にあててもいい」と柔軟に対応して頂いたお陰です。2月には、洗髪剤や石鹸などの衛生用品を2000家族分、バラボット地区南部の住民全員に配布した。4月までにトイレ80台、簡易シャワー200台を設置する予定です。

問:今後、どのような支援が必要ですか?

今回の地震では多くの尊い人命が失われました。現地の人に話しを聞くと、ほとんどの人が家族の誰かしら、または大半を失っています。生き残った人もケガを負ったり、心にトラウマを抱えているため、今後は、心のケアが重要です。
現地では、今も余震が毎日のように続いています。地震の際に残った建物でヒビが入ったものが、余震で崩れ、住んでいた人が亡くなる事故も後を絶ちません。さらに悪いことに、1月に震災孤児となった子供たちの避難先、ケルマンでも大きな地震が起きたのです。子供たちは深刻なトラウマを抱えてしまいました。
現地の人が負った深い悲しみに触れるたび、無力感に打ちのめされる思いがします。現地では、復興に向け、学校や病院といった公共施設の再建が始まっています。ジェンも学校の敷地内にトイレを設置します。現地の人々の生活が一日も早く安定し、少しでも精神的安らぎが得られるよう、支援活動を進めていきたいと思います。

(2004.03.12記載)