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2004年06月25日 庭野会長、米国UUA総会でスピーチ

庭野日鑛会長は6月25日、米国・カリフォルニア州ロングビーチ市で開催されたUUA(ユニテリアン・ユニバーサリスト協会)の「第43回総会」に国際ゲストとして出席、全体会議で約15分にわたりスピーチしました。庭野会長が同総会に出席するのは初めて。本会とUUAの交流は、庭野日敬開祖とデイナ・マクリーン・グリーリー博士(初代UUA会長)の信頼関係が土台となって発展しました。WCRP(世界宗教者平和会議)、IARF(国際自由宗教連盟)を通じ、30年余にわたり交流を続けています。当日は、佳重夫人はじめ水谷庄宏・ロサンゼルス教会長、齋藤高市・ニューヨーク教会長、ロサンゼルス、ニューヨーク両教会の会員16人も参加しました。

同総会は、年に1回、全米のUUAメンバー代表が集うもっとも重要な会議とされています。今年は6月24日から28日まで、ロングビーチ市のコンベンションセンターで開催され、約4500人が参加しました。これまでの総会には、山野井克典理事長、酒井教雄参務(当時理事長)、在米の教会長、海外拠点員などが参加しています。
UUAと本会は、長年にわたり"盟友"ともいわれる関係にあり、以前から庭野会長の総会出席が要請されていました。ウィリアム・シンクフォードUUA会長は、昨年本会を訪れ、「創立65周年記念式典」で祝辞を述べています。
総会の2日目、庭野会長は「全体会議1」で演壇に立ちました。後方、両脇のスクリーンには、本会とUUAの交流などを紹介する40数点の写真が次々と映し出されました。
庭野会長は、UUAのグリーリー博士、ホーマー・ジャック博士と庭野開祖の出会いが、WCRP1(第1回世界宗教者平和会議)に結びついたことを振り返り、あらためてUUAに敬意を表しました。
また、現在の世界には、「宗教の智慧」が必要とし、「国や民族、宗教や文化が違っても、『いのちの子』として共にこの世に生きているという共感が『共生』の世界を生きる大切な精神となる。今求められている『宗教の智慧』とは、こうした『いのちの尊厳の気づき』であると信じる」と強調しました。
「斉家(家庭を斉えること)」にも触れた庭野会長は、「互いを尊重する実践と家庭の和を地域社会に広げ、世界の平和を築いていくことを念願する」と述べると共に、「私たちは、一つの世界に生きている家族。今後とも、共に磨き合い、協力し合い、平和な世界に向けて努力していくことをお誓い申し上げる」と語り、スピーチを結びました。
スピーチ中、会場からは庭野会長の言葉をさえぎるように、共感の拍手が3回沸き、最後には立ち上がって拍手をおくるスタンディング・オベーションが起きました。

UUA総会での庭野会長あいさつ(要旨)

ユニテリアン・ユニバーサリスト協会と本会との交流は、1968年1月、諸宗教指導者との対話・交流を求めて世界を巡られたデイナ・マクリーン・グリーリー博士とホーマー・A・ジャック博士が、本会本部に父・開祖を訪ねてくださったことに始まります。

父・開祖は、グリーリー博士たちの「普遍的真理を基盤として諸宗教が協力しあってこそ、宗教は役割を果たすことができる」という考え方に共鳴し、共に手を携えて宗教者の交流・対話を基盤とした活動を広げてきました。そして、出会いからわずか2年後には、世界宗教者平和会議の開催が実現したのでした。

21世紀を迎えた今日、世界各地で民族紛争が絶えず、特にアフガンやイラクの問題では宗教対立が表面化していることを思うとき、世界宗教者平和会議の活動は今後ますます重要であり、いまほど「宗教の智慧」に期待が寄せられているときはないといえます。

釈尊は、一切の生きとし生けるものは縁起によって成り立っており、すべてが関係し合い、依存し合っている一つの大いなるいのちであると教えられました。この真理を悟れば他の人の苦しみや悲しみは自分のこととなります。人はみな兄弟姉妹であり、家族です。

こうしたいのちの一体感を、私たち仏教徒は「仏の子」と表現しています。キリスト教の「神の子」という言葉も同じ意味合いでありましょう。さらに普遍的に表現すれば、皆が「いのちの子」といえると思います。国や民族、宗教や文化が違っても、「いのちの子」として共にこの世に生きている。この共感が「共生の世界」を生きる大切な精神となります。今求められる「宗教の智慧」とは、こうした「いのちの尊厳の気づき」であると信じます。

日本国内では、青少年による犯罪が凶悪化しています。このことを踏まえ、本会では「斉家」ということを目標に掲げました。斉家とは家庭を斉えること、「ぬくもりのある家庭を目指そう」ということです。家族が仲よくすることこそ、世界の平和という大きな理想の根本となるものです。

本会の会員は、毎日朝夕にご宝前での法華経の読誦を通して、大いなるもの、尊いものに参り、跪き、お陰さまの感謝を捧げます。安らぎの場、憩いの場、そしてまた、神仏を信仰する心を育む場である家庭の平和を築くには、家族が互いに尊重し合うことから始まります。朝、家族が「おはようございます」と、あいさつを交わし、名前を呼ばれたら「はい」と明るく返事をする――そうした、互いを尊重する実践と家庭の和を地域社会に広げ、世界の平和を築いていくことを念願しております。

私たちは、一つの世界に生きている家族です。今後とも、共に磨きあい、協力し合い、平和な世界に向けて努力していくことをお誓い申し上げて、本日のあいさつといたします。

(2004.07.02記載)