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2004年09月07日 「世界宗教者平和のための祈りの集い」閉幕

9月5日からイタリア・ミラノ市で開催されていた「第8回世界宗教者平和のための祈りの集い」(主催・聖エジディオ共同体=アンドレア・リカルディ会長、本部・ローマ)が7日、閉会しました。同集いには、70カ国から350人の諸宗教指導者、政治家、専門家や市民運動の責任者が参加、本会から橋本惠市・本部総務部長、澤畠康友・立正佼成会ジュネーブ代表、廣田委子・英国立正佼成会代表が出席しました。2日間にわたる分科会での討議のあと、閉会式では「ミラノ・アピール」が採択されました。

同集いで、世界を震撼させた事件が取り上げられました。
開会式では、ロシア南部のカトリック・オセチア教区のアズルコフ司教が、北オセチア共和国の学校占拠事件について語りました。「ニュースを聞き、30分後には学校に行き、調停役を買って出たが、あらゆる対話が拒否された」と証言。小児科医が「子供たちに近寄ると撃ち殺すぞ」と脅され、「子供たちの首に手榴弾がかけられていた」ことも明かしました。アズルコフ司教は「占拠3日目にテロリストたちが2個の爆弾を爆発させ、子供たちの多くが虐殺され、逃げようとした子供たちは背後から銃撃を受けた」と叫び、「人類には一致して戦争とテロに抗していく以外の道はなく、テロの前提となる条件を除去していくことも重要だ」と訴えました。
また、閉会式直前には、イラクでイタリアのNGO(非政府組織)のボランティア2人が、イラク人の協力者と共に誘拐されたとのニュースが入りました。イラクのイスラーム・カトリック使節団は、「神とミラノの集いに参加している諸宗教指導者たちの名によって、イタリア人とイラク人の人質を即刻、無条件で釈放するように」との声明を公表。この中で、「彼らは、イラクと同国民のために働く人たちであり、誘拐という行為はイラクの国益を害し、イラクと同国民の敵に荷担する行為である」とアピールしました。
集いでは、6、7の両日、『宗教が紛争の根源か』『戦争状況にある世界での諸宗教対話』『テロの武装解除――信仰者たちの役割』『共生の文明』などをテーマに、36の分科会が開かれました。
橋本総務部長は『日本の宗教的ヒューマニズム』と題するパネルで発題し、「人間尊重、人格完成、人類平和、人間主義(ヒューマニズム)の教えとしての『法華経』」という視点から、「一食を捧げる運動」はじめ本会の平和活動について説明しました。また、米国同時多発テロ事件後の世界について、庭野会長の指導と『法句経』の一節「まことに、怨みは怨みによって消ゆることなし。慈悲によってのみ消ゆるものなり」を引用し、宗教的智慧に基づいた問題解決を目指す本会の基本姿勢を明らかにしました。
最終日に「ミラノ・アピール」が採択されました。アピールは、「われわれの宗教伝統の深部で、恐怖、テロ、戦争によって人類が自滅の危機に瀕していることをより深く理解した」と述べ、「対話が共生を可能とし、世界に未来を与える」と結んでいます。閉会式にメッセージを送ったローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、米国同時多発テロ事件後の世界で、「残念ながら、テロが破壊の脅威を増強しているように見える」ことから「連帯と平和を世界化していく必要があり」、そのために「1986年の『アッシジの精神』の重要性」を再確認していかなければならない、と呼びかけました。

(2004.09.17記載)