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2004年10月01日 扶友センター開設から半年

立正佼成会附属佼成病院(林直諒院長、東京・中野区)の「扶友センター」が、今年4月に開設されてから半年を迎えました。同センターは、「腎センター」、「療養型病棟(ひかり病棟)」、"ホスピス"にあたる「緩和ケア・ビハーラ病棟(佼成ビハーラ)」の3つの機能を備えており、半年経った今、各機能の特色を活かし、さらに積極的な取り組みがなされています。

○腎センター
「扶友センター」の各機能は、佼成病院の診療圏である中野、杉並区の社会状況や医療ニーズを踏まえた上で決定されました。センター1階の「腎センター」(40床)は、腎臓病により透析を必要とする患者のための外来病棟。これまで佼成病院では、12床で外来患者と入院患者の人工透析に対応していました。透析患者は週3回、1回に4時間の治療が必要なため、他の病院を紹介するなどの対策を講じていました。今年4月、病床を40床に拡大、25床を使用し、1日に30人前後の治療が可能になりました。年齢層は60代から70代が中心。慢性の腎臓病をはじめ、糖尿病性腎症、長期透析患者の合併症などの治療にも取り組んでいます。スタッフは、医師、看護師、臨床工学技士など13人。今後、社会人や学生のための夜間外来を計画しており、スタッフの増員も検討されています。
窪田研二・腎臓内科部長は、今後の課題として「入院患者への対応」をあげる。現在、腎センターは主に外来専門の施設で、透析を必要とする入院患者は、従来から使用していた佼成病院の透析室で対応するケースが多く、今後は、入院患者を積極的に受け入れていくため、病棟から同センターへの移動経路の確保など、対応の準備を進めます。

○療養型病棟(ひかり病棟)
従来、佼成病院は「急性期病院」とされ、主に緊急医療や手術など、集中的な治療を提供する病院と位置づけられています。そのため一定の治療や看護を終えた高齢者や慢性的な病気を抱える患者が、療養のため入院を継続することは難しい状況にありました。こうした現状を踏まえ、新たに開設した「療養型病棟(ひかり病棟)」(2、3階32床)は、「急性期医療」と「在宅医療」のパイプ役を担っています。スタッフは主治医、看護師、ケアワーカーなど19人。現在、29人が入棟しており、80代以上の高齢者が大半を占めています。急性期の病棟で脳疾患や骨折などの治療を終えた患者が社会生活に戻るためのリハビリテーションを行っているほか、脳血管障害による痴ほう症患者などが療養施設に入所するまでのサポートも行います。病棟ではナースステーション前の食堂で全員が食事をとります。同じ場所で食事をすることで看護師やケアワーカーの目も行き届き、患者も安全な環境の中で楽しく食事をとることができます。体操は、毎日午後3時からと時間を決め、ケアワーカーが中心となり、寝たきりにさせないための手足の運動や食べ物を飲み込む力をつける運動などを行っています。
「患者さん一人ひとりが人間らしく、その人らしい生活をおくる」。これが開設から半年を経た現在、何よりの成果だと熊木身知看護師長は言います。体の機能を回復すると同時に、人間本来の力を再生させることが病棟の願いでもあります。熊木看護師長は今後の課題として、在宅介護にかかわる家族の精神的フォローの必要性を指摘。「ご家族の精神的負担はとても大きいと思います。家族会などをつくり、苦しみや喜びを分かち合う中でご家族の負担を軽減できるな場をつくりたい」と語っています。

○緩和ケア・ビハーラ病棟(佼成ビハーラ)
悪性腫瘍の末期患者を対象に、現在ある症状り緩和を目指し、身体的、精神的痛みを抱える患者や家族を支えていくための「緩和ケア・ビハーラ病棟(佼成ビハーラ)」(4階12床)も地道な活動を続けています。
主治医、看護師、ヘルパーら14人のスタッフが連携し、患者・家族のケアを第一とした医療を展開。大学病院や地域の医療機関の紹介で病棟を訪ねてくるケースが多く、外来を通して病状を確認し、患者・家族の希望を聞いた後、入退棟判定会議によって入棟者を決定しています。佼成病院の入院患者が希望する場合も同様の過程で入棟が決められます。現在までに受け入れた患者は44人。在院日数は最短で2日、最長で4カ月に及びます。2週間前後をビハーラで過ごし、亡くなるケースが多いと言います。現在は8人が入棟。カウンセラー、アロマテラピーを学んだスタッフが、患者の要望に応じて心のケアやマッサージなども行います。家族が24時間面会できるシステムを整えているほか、スタッフが電話相談を行い、在宅看護にかかわる家族や患者の悩みに応えています。
畠中孝子看護師長は、半年間を振り返り「私たちは、患者さんが入棟する際に『ここで何がしたいですか』と伺い、患者さんやご家族の希望に応えられるよう取り組んでいます。今ここにある患者さんの命やご家族の方へのかかわりを大切にし、あらゆる側面から支えさせて頂くため努力しています」と語ります。今後も相談員やボランティアなどの整備を進めていく意向です。

(2004.10.01記載)