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2005年04月25日 新教皇聖下ご就任 お祝いのメッセージ

第265代ローマ教皇に選ばれたベネディクト十六世の就任ミサが、4月24日午前10時(現地時間)からバチカンのサンピエトロ広場で開催され、本会から庭野会長が参列しました。ミサには、約150の国や国際機関の代表、世界の諸宗教代表らが出席、新教皇の就任を祝いました。庭野会長は、半田孝淳・天台宗探題はじめ日本の諸宗教代表と共に、壇上右側の最前列に着座。2時間半に及ぶ就任ミサを見守りました。翌25日には、バチカン内でベネディクト十六世に謁見。庭野会長は、新教皇就任の祝意を伝え、「お祝いのメッセージ」を直接手渡しました。席上、ベネディクト十六世は庭野会長に向かい、「平和のため共に働きましょう」と語りかけ、今後も諸宗教対話・協力を推進していく意向を示しました。

4月2日(現地時間)、前教皇ヨハネ・パウロ二世が帰天された後、コンクラーベ(教皇選挙)を経て、同19日、ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿が第265代教皇に選出されました。新教皇は、ベネディクト十六世を名乗ることも決まりました。
その就任を祝うミサは、晴天の中、サンピエトロ広場で行われ、周辺には約40万人の信徒、市民が集いました。広場から半径3キロは車の全面通行止。庭野会長はじめ諸宗教代表は、バチカンの用意したバスに乗り、イタリア警察の先導で会場入りしました。
壇上右側には、諸宗教代表の特別席が用意され、庭野会長は、半田師、西郊良光・天台宗宗務総長、宮本けいし・妙智會教団理事長らと共に最前席に着座。袈裟、おたすきなどを身にまとった日本の諸宗教代表の姿は参列者の注目を浴び、CNNテレビなどでも映し出されました。
就任ミサでは、ベネディクト十六世が説教を行い、「かつてなかった責務に挑戦していくための信徒たちの祈り」を願うと共に、青年に対して「恐れずに(自身の心の)門戸を開放していくように」とアピール。またキリスト教徒の結束を訴えた上で、諸宗教との対話継続を表明しました。
ミサ終了後には、ベネディクト十六世が専用車でサンピエトロ広場を回り、参集した信徒から大きな歓声が上がりました。

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翌25日には、午前11時(現地時間)から、就任ミサに参列した世界の諸宗教代表が、バチカンのクレメンスホールでベネディクト十六世に謁見。冒頭、英国国教会、ロシア正教、イスラーム、仏教など約100人の諸宗教代表に対してベネディクト十六世は、キリスト諸教会の一致を促すと共に、「すべての人々と社会全体の真の幸福を得るため、われわれはすべての宗教の皆さまと友情の架け橋を築いていきたいと考えていることをはっきり申し上げたいと思います」とあいさつし、前教皇ヨハネ・パウロ二世が進めた諸宗教との対話路線を継承していく姿勢を明確に示しました。
このあと、ベネディクト十六世が諸宗教者一人ひとりと謁見。庭野会長は、ベネディクト十六世に「ご就任誠におめでとうございます」と祝意を伝え、「お祝いのメッセージ」を直接手渡しました。ベネディクト十六世は、「平和のため共に働きましょう」と応え、笑顔で握手を交わしました。
ベネディクト十六世に対する「お祝いのメッセージ」の中で庭野会長は、「すべてのいのちが尊ばれる世界を創造することは、あらゆる宗教者の悲願であります。私共も、ベネディクト十六世聖下と心を一つにし、また世界の諸宗教者と手を携え、一歩一歩前進してまいる所存」と述べると共に、来年、京都で開催されるWCRPⅧ(第8回世界宗教者平和会議)への協力を要請しました。
また謁見会場で庭野会長は、英国国教会のロワン・ウィリアムズ大主教とあいさつを交わしたほか、マイケル・フィッツジェラルド・バチカン諸宗教対話評議会議長らとも交流しました。

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新教皇に就任したベネディクト十六世は、1927年、ドイツに生まれました。1951年、司祭に叙階され、2年後に神学博士号、4年後に大学教職免許を取得。哲学・神学高等学校で教義・基礎神学の教鞭を執ったのち、1959年から1969年にかけてボン、ミュンスター、チュービンゲン、レゲンスブルクの各大学で教職に就きました。
1962年、ケルン大司教であったヨゼフ・フリングス枢機卿に同行し、神学顧問として第二バチカン公会議に参加し、多大の貢献を果たしました。ポーランド・クラコフのボイティワ大司教(のちの教皇ヨハネ・パウロ二世)との出会いも、公会議中に実現しました。
1977年、教皇パウロ六世によってミュンヘン・フライジングの大司教に任命され、3カ月後には同教皇によって枢機卿に登用されました。1981年には、教皇ヨハネ・パウロ二世によってローマに召集され、バチカン教理省の長官に就任。以来、新教皇に選出されるまで、同省長官の役職にあり、ローマ教皇庁聖書学・神学国際委員会委員長、枢機卿団団長も兼任しました。
教皇選挙の翌日、共同ミサを司式したベネディクト十六世は、枢機卿団に向かい、「カトリック教会は、人間と社会の真の善を追求する諸宗教者とのオープンで誠実な対話を拡大していけるよう努力し続ける」「歴代教皇が展開した諸文明との対話に対する努力と献身をいとわない」と誓約するなど、「キリスト教会の一致」「諸宗教・諸文明との対話」を推進する姿勢を重ねて強調していました。

新教皇聖下ご就任 お祝いのメッセージ

ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿様が、ベネディクト十六世としてカトリック教会の第265代教皇聖下にご就任なさいましたこと、衷心よりお祝い申し上げます。
新しい教皇聖下のご就任は、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世聖下のご帰天という深い悲しみの中にある全世界の信徒の皆さまにとりまして、未来を指し示す光となるものでございましょう。今後、ベネディクト十六世聖下のもと、カトリック教会が平和な世界の実現に向け、一層ご尽力くださいますことを、心より願うものであります。

カトリック教会の皆さまは、この世のあらゆる人々を、分け隔てなく「兄弟姉妹」と呼んでこられました。この「兄弟姉妹」という捉え方こそ、現代人が何よりも大切にすべき精神であり、つきつめれば全ての宗教に共通する智慧であります。
宗教によって表現のあり方は異なろうとも、目指すところは一つです。その核心をなす共通点を見出すことができれば、生きるための座標軸を見失いつつある現代人に対して、かけがえのないメッセージを発信することができると信じます。

第二バチカン公会議以降、カトリック教会は、諸宗教との対話・協力を積極的に推進してこられました。ご生前、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世聖下も対話と和解の重要性を説かれ、世界の諸宗教者に多大な影響を与えられました。折しも来年は、日本の京都でWCRP8(第8回世界宗教者平和会議)が開催されます。今後とも、WCRPの諸活動にご支援、ご教示を頂ければ幸いでございます。

新たな世紀、新たな千年紀を迎えましても、いまだ世界に戦禍の止むことはなく、暴力の連鎖、怨みの連鎖が続いております。平和な世界に向け、いまほどベネディクト十六世聖下のリーダーシップが待ち望まれている時代はありません。
すべてのいのちが尊ばれる世界を創造することは、あらゆる宗教者の悲願であります。私共も、ベネディクト十六世聖下と心を一つにし、また世界の諸宗教者と手を携え、一歩一歩前進してまいる所存です。教皇聖下ご就任にあたり、このことを伝え申し上げ、お祝いの言葉といたします。

合掌

世界宗教者平和会議日本委員会理事長
新日本宗教団体連合会理事長
立正佼成会会長
庭野 日鑛

(2005.05.06記載)