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2005年10月21日 新潟県中越地震から1年


震災から1年を迎える今も、仮設住宅には大勢の被災者が入居している(写真は、十日町市内の仮設住宅)

「新潟県中越地震」から、10月23日でちょうど1年が経ちました。最大震度7を記録した北魚沼郡川口町をはじめ小千谷市、十日町市、長岡市などは甚大な被害を受け、死者51人、家屋被害は12万391棟に及びました(新潟県中越大震災災害対策本部発表)。県下の本会会員の多くも被災。特に越後川口、十日町、長岡の3教会の会員612世帯が、全・半壊、一部損壊に見舞われました。被災から1年。教会の取り組みと会員たちの現在の様子を紹介します。


最大震度7を記録した北魚沼郡川口町。現在(写真上)と被災当時の様子

【越後川口教会】
教会道場のある川口町は最大の震度7を観測しました。ライフラインが停止、周辺道路も崩壊し、一時期は「孤立」を余儀なくされました。困難な状況が続く中、幹部らは道場に泊り込み、会員の安否確認に奔走しました。また、同町災害対策本部が教会道場を正式に避難所に指定。避難勧告が解かれるまでの約3週間、会員や本部から派遣されたボランティアが被災した近隣住民の受け入れにあたりました。
地震から1年が経過し、教会は通常の活動を営んでいます。しかし、会員の生活環境はさまざまです。現在も81世帯が仮設住宅で暮らしています。その中には、今後の見通しが立っていない会員もいます。一方、幸いにも地震によって完全に失職した会員はいませんが、田畑や山に亀裂などが生じたため、農業などに携わる会員は大きなダメージを受けました。しかし、家業を守ろうと努力を続けています。例年通り「奉納米」を持って道場を訪れる会員の姿は、他の多くの会員を勇気づけています。
今、教会幹部らが最も心を配っているのは、被災した会員たちの精神面です。外出を拒む会員、睡眠不足を訴える会員も少なくありません。「トイレに一人で行けなくなった」という子供もいます。幹部らは今後も、きめ細かな手どりや仮設住宅内での法座などを継続していくことにしています。また、他教会に所属するカウンセラーの協力を得て、心のケアに重点を置いた訪問活動も行う予定です。
一方、地震を通して得た功徳も報告されています。最も多いのは家族の絆が強まったという声です。仮設住宅への文書布教を通じ、高齢者らとの交流を深めている地区もあります。
また、会員たちは現在、昨年末に発生した「スマトラ沖地震・津波災害」、今春の「福岡県西方沖地震」に続き、先ごろ発生した「パキスタン地震」の被災者に対しても「何かお役に立ちたい」「切ない思いが分かる」と義援金を集めています。
【十日町教会】
地震発生直後から教会道場には地元・稲荷町の住民約450人が避難しました。この事態に、教会幹部らが教会に駆けつけ、炊き出しや救援物資の仕分け・配布、寝具の搬出などに携わりました。被害の少なかった津南法座所では同支部の会員がおにぎりや水を教会に運びました。
各支部では会員の被害状況を把握する総手どりを3カ月にわたり実施。支部長、主任、組長らが約6000世帯を歩きました。また、大きな揺れを体験したショックに加え、頻発する余震によって「寝つきが悪い」「落ち着きがない」「気力が出ない」「無理が利かない」など、精神的に不安定な状態を訴える声も聞かれました。
これに対し、教会では全国各教会から寄せられた励ましの手紙を持って手どりを展開。一軒一軒に手渡しながら心のケアに努めました。さらに、臨床心理士を教会に招き、集団カウンセリングを行ったほか、震災前からカウンセラーを招いて実施していた「心の相談会」の実施回数を増やし、対象者の枠を市民にも広げました。
その一方で、地震によって家族の絆が強まり、地域住民とのコミュニケーションが深まったとの声が会員から聞かれています。
現在、不安定な精神状態を訴える会員はほとんどなくなりました。しかし、損壊した家屋の修繕は進んでおらず、8世帯の会員が仮設住宅で生活。そのほかの会員も、自宅に応急処置を施して住んでいます。
震災から丸1年を迎える10月23日、教会道場で復興を支えてくれた全国各教会への感謝の心を前唱文、後唱文に記し、読経供養を行う予定です。
【長岡】
地震発生直後、教会道場には近隣住民約100人が避難。会員が炊き出しなどの救援活動を展開しました。被害は長岡市の広範囲で確認され、多くの会員が家屋の全・半壊に見舞われました。市中心部から離れた越路小国法座所も建物が傾き、立ち入りが規制されました。
同教会では地震の翌日から、支部長や主任らが会員宅や避難所に身を寄せる会員を訪ね、被災状況の把握に回りました。この活動は「励まし訪問」と呼ばれ、被災者の精神的支えとなりました。同訪問はその後、長岡市内各所に建設された仮設住宅でも行われました。特に大雪となった冬の時期は、高齢会員の話し相手や今後の生活相談などきめ細かな手どりが展開されました。越路小国支部では地区の会員宅で法座を続けました。
一方、青年部では被災地の現状を多くの人に知ってもらおうと、昨年11月13日からほぼ毎週、東京のJR新宿駅西口などで募金活動を展開しました。また青年婦人部は地震の約1週間後に会員向けの情報紙『大法船』を発行。被災した会員のコメントや行政の支援情報などを掲載しました。
現在、道路や家屋などの復興が進み、各支部では新築や改築を終えた会員宅へのお祀り込みや安置式が連日行われています。地震で延期になった教会発足45周年記念式典も、今年7月に多くの会員と市民の協力により開催されました。
その一方でようやく棚田の復旧作業が始まった栃尾市半蔵金地区など、地震の爪痕が残されたままの場所もあります。教会では今後も地区の手どり、導きや法座に取り組んでいく予定です。

(2005.10.21記載)