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2006年10月06日 庭野平和財団、南アジアプログラム来年度テーマ

『貧困の削減』をメーンテーマに庭野平和財団が進める南アジアプログラムの2007年度のプロジェクトがインド、バングラデシュで実施されます。それに伴い、先ごろ両国で現地諮問委員会を開催しました。席上、プロジェクトの年間テーマが検討され、インドは『都市における貧困』、バングラデシュは『貧困削減に向けたアディバシ(先住民の意)の人々の能力開発』に決定しました。

インドでは近年の高度経済成長で、各地でインフラの整備や高層建築物の建設が進められています。その中で、居住地を失い、移住を余儀なくされる人々が生まれ、コミュニティーの喪失、出稼ぎ、人の移動によるHIV(エイズウイルス)の感染拡大など新たな問題が発生しています。同プログラムでは大都市のスラムやストリートチルドレンといった従来の問題に加え、都市化に伴う新たな貧困問題の解決に取り組むことになります。
一方、バングラデシュには人口の大半を占めるベンガル人以外に、ドラビタ系やモンゴロイド系の民族など数多くの先住民が暮らしています。少数派である先住民への差別や迫害は激しく、中には生存を脅かされている民族もあります。
例えば、チッタゴン丘陵地では、先住民の領地に貧しいベンガル人を入植させる政策がとられ、入植者らとの摩擦から先住民の虐殺、村や仏教寺院の破壊などが行われてきました。武力衝突後、和平協定が結ばれたものの、現在も協定の完全実施には至っていません。同プログラムでは、先住民の人権擁護を支援するとともに、先住民自らが組織するNGO(非政府機関)の基盤が弱いため、その強化に力を入れていきます。

(2006.10.06記載)