News Archive

2006年11月09日 新宗連が「第70回拡大宗法研」開催

新宗連(新日本宗教団体連合会)宗教法人研究会(宗法研)による「第70回拡大宗法研」が11月9日、東京・代々木の新宗連会館で開催され、山脇直司・東京大学大学院教授が『現代世界における公共哲学と宗教』をテーマに講演しました。

新宗連宗法研は、宗教法人の社会的責任と役割について研究する機関。年に数回、宗法研のメンバー以外からも参加を募って拡大宗法研を開催し、宗教が直面する現代社会の問題について研さんを重ねています。
講演の中で山脇教授は、公共哲学の「公共」の概念について、「政府の公」ではなく人々の自発的なコミュニケーション活動によって生まれる「民の公共」と説明。その中で人々の共通認識に基づき平和、福祉、公正といった「公共善」の実現を目指すものが公共哲学であると解説しました。
また、個人を犠牲にして国家という公に尽くす「滅私奉公」や、自己利益だけを追求したり自己の殻に閉じこもったりする「滅公奉私」の考え方を紹介した上で、公共哲学が提唱する理念は、個人を人間関係の中で生かしながら人々の公共性を開かせる「活私開公」にあると強調しました。
さらに、宗教も個人的な「私的領域」にとどまらず、現代の諸問題に対して公共的責任を持っていると指摘。「宗教間対話を通し、互いの違いを認めながら合意形成を目指して協働することで、環境保護、人権擁護、平和、福祉などの公共善実現に寄与できる」と述べました。

(2006.11.17記載)