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2007年02月05日 「アフリカ毛布ボランティア隊」報告

2月5日から17日まで「アフリカ毛布ボランティア隊」(隊長=井上泰宏越谷教会長)が実施されました。本会会員12人と「JHP・学校をつくる会」のメンバー2人で構成された同隊は、エチオピア北部ティグレ州で毛布の配布活動を展開。現地NGO(非政府機関)のREST(ティグレ救援協会)の協力を得て、州内4カ所で5266枚を現地の人々に手渡しました。隊の活動の様子を紹介します。

一行は、5日に日本を出発してから飛行機を2回乗り継ぎ、約20時間のフライトを経て、毛布配布の拠点となるティグレ州の州都メケレに到着した。
8日、一行はREST事務所を訪問し、スタッフから干ばつや貧困など、エチオピアが抱える諸問題やRESTが取り組む活動の説明を受けた。スタッフは、毛布の配布方法について「毛布を肩にかけたら、抱きしめてあげてください」と隊員に呼びかけた。
一行は、メケレから北へ100キロに位置する最初の配布地、ハウゼンに向かった。アスファルトの道路はやがて未舗装の砂利道となり周囲の景観は、わずかな木々と草が植生するだけの褐色の大地へと変わった。長年にわたる干ばつに加え、1998年に発生した隣国エリトリアとの紛争で国家予算が圧迫され、地方のインフラ整備にまで手が回らないのが現状だ。隊員を乗せた四輪駆動車は、激しく縦に揺れ、砂埃を巻き上げながら目的地を目指した。
およそ2時間かけて一行は、ハウゼンに到着した。配布場所となる村の広場には、すでに多くの人々が詰めかけていた。隊の紹介や同運動の説明の後、いよいよ配布が始まった。
「ダハンディハ」(こんにちは)。隊員は、一人ひとりとあいさつを交わし、相手の肩に毛布をかける。やさしく抱きしめながら日本からの"ぬくもり"を伝えた。「毛布と共に、真心をお渡しすることができました。毛布を受け取ってくださったことに感謝しています」と、隊員の一人は語った。
配布が終わると、人々は毛布を手に道なき道を方々に去っていった。帰り支度をする隊員たちのもとに一人の少女が歩み寄ってきた。「私は孤児で、HIVに感染しています......」。そう告白し、毛布への感謝を表すと、その場を後にした。エチオピアでは、国民のおよそ1割がHIV(エイズウイルス)に感染しているとも言われている。隊員たちが、厳しい現実を目の当たりにした瞬間だった。
4日間にわたる活動の中で、一行は5266枚の毛布を手渡し、現地の人々と多くの縁を結んだ。3時間歩いて毛布を受け取りにきたというキロスさん(14)は、いま学校に通えることの喜びを隊員に伝え、「先生になりたい」と将来の夢を隊員に語った。ハイラセス君(13)は、「毛布をもらえて幸せ」と満面の笑みを浮かべた。
一方で、40度を超える炎天下を長時間かけて会場まで足を運んだにもかかわらず毛布を手にできない人も多くいた。毛布は、身体障害者や高齢者、孤児など、生活に困窮する人々に優先して配布される。訴えるような目で隊員を見つめる人々の姿に、隊員たちは胸を痛め、支援継続の必要性を感じずにはいられなかった。「帰国後は、積極的に毛布の収集活動に取り組み、この運動を継続するためにも、青年たちに運動の意義を伝えていきたい」とある隊員は新たな誓いを立てた。
配布最終日の夕方、RESTの事務所で「意見交換会」が行われた。その席で、RESTのスタッフが隊員たちに語りかけた。「長きにわたって日本の皆さんが支援してくださっていることをティグレの人々はよく分かっています。心の支えになっているのです」。
今回、毛布を手渡すたび、現地の人々から隊員に、あるメッセージが贈られていた。「イバルカ」。感謝と共に、神の祝福を意味する言葉だ。「無事に帰国できますように」「家族と再会できることを祈ります」と、言葉を添える人もいた。1枚の毛布は、日本とエチオピアを結ぶ架け橋となっていた。

(2007.03.02記載)