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2007年04月20日 扶友センター開設から3年

佼成病院「扶友センター」(東京・中野区)の開設から3年が経過しました。同センターは、<1>腎センター<2>療養型病棟(ひかり病棟)<3>緩和ケア・ビハーラ病棟(佼成ビハーラ)――の三つの機能を備えています。3周年を迎えた今、医療の充実が積極的に図られ、地域医療への貢献に対してさらなる期待が高まっています。

同センターは2004年4月、同病院の診療圏である中野・杉並両区の社会状況や医療ニーズを背景にして誕生しました。入仏・落慶式の席上、庭野日鑛会長は、同センターの使命を「患者が心安らかに過ごせるよう、心と肉体の問題に取り組んでいくこと」と強調しました。開設から3年が経ち、それぞれの部門では、患者やその家族のニーズに応じてシステムの改善などを図りながら、よりよい医療を目指して取り組みが進めています。各機能の現状について紹介します。

【腎センター】
  人工透析を必要とする人のための外来病棟として、センター1階に35床のスペースを備えています。現在、糖尿病性腎症や慢性の腎臓病などの患者81人に対し、1回3~4時間の透析治療を実施。最大で1日に2回、50人以上を受け入れています。
主に中野、杉並両区の透析患者が通院しているほか、他県の患者が、一時的に上京した場合などにも対応。本部参拝の際に同センターを利用する会員も少なくありません。各ベッドに液晶テレビが備え付けられているほか、病床の間隔が広くプライバシーが確保されています。
窪田研二・腎臓内科部長は今後の課題として「病床数が多く、一度に30人以上の治療が可能になった一方で、医療スタッフと患者さまとの触れ合いが少なくなりました。医療の向上に努めるとともに、患者さま一人ひとりと向き合える体制を作っていきたい」と語っています。現在、患者の平均年齢は67・2歳。窪田部長は、今後ニーズに応じて社会人や学生の夜間外来も受け入れていきたいとしています。

【ひかり病棟】
一般病棟での治療や一定の看護を終えた高齢者をはじめ、慢性的な病気で療養が必要な患者のための入院病棟。同センターの2、3階に32床を備え、開設から現在まで350人が利用し、大半が80歳以上の高齢者で現在、25人が入院しています。
スタッフは医師、看護師、介護福祉士、ケアワーカーなど19人。脳血管障害、骨折の患者などが地域の療養施設に移るまでの間のサポートや在宅復帰に向けた援助を行っています。病棟では、患者が決められた時間にナースステーション前の食堂に集まり、食事をとります。看護師やケアワーカーの目が行き届き、患者が安全な環境で食事ができるほか、規則正しい食事により生活のリズムが整うと言います。
また、寝たきりにならないよう、毎週金曜日に体操や歌の時間を設けています。そのほか、季節に応じてクリスマスや節分などのイベントも催しています。熊木身知看護師長は、「患者さま一人ひとりに合ったケアを心がけることで、患者さまも体の機能を回復され、元気を取り戻されています」と話し、3年間の成果に言及。今後の課題として、「その人らしい生活を送れるように、医療や看護の質を高め、自立への手助けをしていきたい。今、患者さまの排泄の自立を目指した取り組みを始めました。『やすらぎ ふれあい 自立への第一歩』をキャッチフレーズに今後も力を尽くしていきたい」と語りました。

【緩和ケア・ビハーラ病棟】
悪性腫瘍の患者を対象に、現在ある症状の緩和を目指し、身体的、精神的な痛みを抱える患者や家族を支えていくための取り組みを続けています。12床を有し、開設以来、248人を受け入れました。同病院の一般病棟から移ってくるケースをはじめ、大学病院の紹介やインターネットのホームページを通じて入棟を希望してくる患者も増えています。
スタッフは、医師や看護師、ヘルパーなど14人。看護師の指導を行う「ホスピス認定看護師」の資格を持つスタッフを擁し、他病院からの研修生なども積極的に受け入れています。
病棟では、「患者や家族が季節の移り変わりを感じられるように」と、毎月、催しを実施。また、同病院での慰霊祭に合わせ、遺族を招き、ティーパーティーを行うなど、アフターケアにも力を注いでいます。催しの際、教団から要請された「スピリチュアルケアワーカー」がサポートを行い、今年2月には「ビハーラ・ボランティア」を公募。現在、講習を終えた希望者が病棟で実習に臨んでいます。畠中孝子看護師長は「ボランティアを含め、今後も一層、患者さまに寄り添ったケアに努めてまいりたい」と語っています。

(2007.04.20記載)