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2007年06月18日 庭野会長、中国で友好親善の絆を強める

今年が故・趙樸初・前中国佛教協会会長(第3回庭野平和賞受賞者)の生誕100年、日中国交正常化35周年にあたることから、庭野会長は中国佛教協会(釋一誠会長)と中華宗教文化交流協会(葉小文会長=中国国家宗教事務局局長)の招きを受け、6月18日から27日まで佳重夫人と共に中国を訪れました。伊藤雅由参拝部長が同行しました。友好親善をさらに深めるため、両協会を正式訪問したほか、趙師の夫人である陳邦織女史宅にも訪れるなど交流を重ねました。また、訪問先の北京、太湖など各地で熱烈な歓迎を受けました。庭野会長の訪中は、30年前に初めて訪れてから8回目にあたります。

生誕100年を迎えた趙師は、1953年、中国佛教協会設立と同時に副会長兼秘書長に就任。仏教寺院の修復、チベット仏教の発展に尽力しました。特に文化大革命後の仏教の復興に多大な貢献を果しました。同会長に就任した80年、中国佛学院を復興。庭野会長は2000年、同学院から『名誉教授』の称号を受けています。

また、趙師は「日本、韓国、中国の三国の仏教者の間に黄金の絆を結びたい」と提唱し、95年には第1回「中・韓・日仏教友好交流会議」を北京で実現しました。同会議は今秋、第10回を数え、北京で開かれます。 
本会との親交は深く、庭野日敬開祖の盟友とも言える存在でした。61年に本会を初めて訪れ、78年には中国佛教協会訪日友好代表団の団長として大聖堂で特別講演を行いました。翌79年にアメリカ・プリンストンで開かれた第3回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会に中国から初参加。85年、「第3回庭野平和賞」を受賞しました。その後も庭野開祖との親交を深め、87年の比叡山宗教サミット後、庭野開祖の招きで陳女史を伴い穂高などを訪問。2000年5月、92歳で逝去しました。
北京空港で中国佛教協会副秘書長・張琳氏、国家宗教局外事司長・郭偉女史らの出迎えを受けた庭野会長は、その足で北京市街にある陳女史宅を訪ねました。祭壇が設けられた一室を参拝し、趙師の遺影に生花と香を手向け、題目を三唱、遺徳を偲びました。

応接間で陳女史は「いつでも穂高のことが目の前に浮かんできます。開祖さまと趙樸初が散歩をしたり、話をしている時に、私はずっとおそばにいさせて頂きました」と、20年前の思い出を述懐。庭野会長は、今年4月に長野県穂高で撮影した写真や写真集『三霊山瞑想』を手渡しました。
庭野会長は陳女史と共に穂高での写真を見ながら「ちょうどこのころ、こぶしの花が咲いておりました」と話し、趙師の植えた思い出の木に今年も花が咲いたことを伝えました。歓談は終始和やかな雰囲気に包まれ、互いの健康を気遣いながら近況などを話し合いました。 
このあと、庭野会長は北京市内の広済寺を参拝。境内にある中国佛教協会を訪問し、学誠法師(同協会副会長兼秘書長)と懇談しました。学誠法師とは先月、「日中友好宗教者懇話会創設40周年記念式典」でも会見しています。
懇談では、学誠法師が「先輩からどうぞ」と、庭野会長に最高の敬意を表す形であいさつを促しました。庭野会長は、「今年は趙先生の生誕100年の記念すべき年にあたります」と訪中の目的を強調。来年北京でオリンピックが行われることに触れ、「北京が発展する姿を見て素晴らしいと感じました。創造の一つの姿だと思います」と話し、5年ぶりに訪れた市街の印象を語りました。
学誠法師は、昨年京都で行われた第8回WCRP世界大会に触れ、「中国の代表が参加し、世界平和と調和、人類の進歩に積極的な役割を果すことができたと信じています」と話し、宗教協力による世界平和達成への強い願いを披歴。また、趙師が提唱した「黄金の絆」を体現する日中韓仏教友好交流会議に注いできた本会の貢献に感謝を表しました。
さらに、「当協会と開祖さま、佼成会の会員の皆さまとは共通の認識を持っています。それは諸先輩が残された不可欠の遺産だと思います」と話し、自らもそれを継承する意思を強調。「私は趙先生の一生徒として、仏陀の智慧、慈悲、平等の精神に基づいて、世世代代の日中友好のために精進していきたい」と話しました。
翌19日、庭野会長は、中国国家宗教事務局を訪ね、蒋堅永副局長と懇談しました。
蒋副局長は「開祖さまが率いた立正佼成会が中日人民のために大きく貢献されたことを、人民はいつまでも忘れません。日鑛会長が開祖さまの意思を受け継いでこられたことによって、日中の親善交流が世世代代、拡大していくことを確信しています」と述べ、長年にわたる本会と中国佛教協会との交流に感謝と期待を表しました。 
また、中国政府の目指すものは「和諧社会」であるとし、「和諧の力をつくるには、政府は宗教の力を得なければならないと考えています。宗教界も、特別の力を発揮して世界平和を模索しています」として、昨年4月の「第1回世界佛教フォーラム」に引き続き、来年にも同フォーラムを開催する意向を伝えました。 
庭野会長は「宗教事務局を訪問すると心が休まり、有り難く感じております」と、「宗教者・精神的指導者による『ミレニアムサミット』」(2000年、ニューヨーク・国連本部)から続く葉小文局長との友情について語りました。また、玄奘三蔵の求道心を学ぶシルクロードの旅(83、86年)を振り返り、中国人から道を訪ねられたことや、自身の幼少期に似た子供との出会いを紹介しながら、今回の訪中への期待感を表明。「昨年は父である開祖の生誕100年、本年は趙樸初先生の生誕100年。意義のある年に訪中でき、感謝いたします。黄金の絆、日中韓の仏教による平和を真剣に考え、世世代代、友好親善がなされるよう努力したい」と話しました。 
これを受け蒋副局長は、「開祖さまと趙先生の友好を受け継ぎ、私たち(の友好)もさらに発展させなければなりません。中日友好の発展は世界平和に貢献できるのです」と、身を乗り出して応えました。 
このあと庭野会長は中華宗教文化交流協会を訪問。待ちきれない様子で出迎えた葉会長は、庭野会長の右腕に自身の左腕を組みながら応接室へ歩を進めました。
葉会長は着座すると、「ウルムチから南京に直行する予定でしたが、どうしてもお会いしたくて北京に戻りました。会うたびに心が温かくなります。会って良かった」と歓迎。また、庭野会長の訪中が8回目と聞き、「友好のために我が身を惜しまない"行"は、日中友好のお手本になります」と話しました。 
これを受け庭野会長は「北京までお越し頂き、お会いできて本当に感激しております。趙樸初先生は文人でもあり、詩を詠まれました。その意味で葉局長さんには似ているところがあります」と述べると共に、「これからも友好交流を深めてまいりたい」と決意を表しました。

(2007.06.29記載)