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2008年06月05日 教団付置研究所懇話会が「第7回生命倫理研究部会」

『再生医療』を研究テーマに教団付置研究所懇話会の第7回生命倫理研究部会が6月5日、東京・台東区にある大本東京本部の講座室で行われ、18の研究機関から48人が参加しました。本会からは中央学術研究所の藤田浩一郎次長や天谷忠央元所長=同懇話会顧問=ら3人が出席しました。

当日は、浄土宗総合研究所の今岡達雄主任研究員が『再生医療の概要と倫理的問題』と題して発題に立ちました。今岡研究員はクローン技術を用いて、ヒトの体細胞からさまざまな細胞に分化する「胚(はい)性幹細胞」(ES細胞)をつくる研究や、京都大学の山中伸弥教授が皮膚細胞から「万能細胞」をつくり出すことに成功した人工多能性幹細胞(iPS細胞)など現在の再生医療研究を説明。拒絶反応のない移植医療が可能となる半面、「人体の部品化、資源化が進み、生命の尊厳が脅かされる」と語りました。
このあと、天理大学おやさと研究所の金子昭教授が『諸宗教が共有する再生医療の課題--その問題提起と掘り下げの検討』をテーマに発表しました。冒頭、iPS細胞の登場によって、臓器移植や、受精卵を破壊して作製されるヒトES細胞の倫理問題が克服されることを紹介。一方、新たな問題として再生医療が治療ではなく、人体改造に傾斜していく危険性を指摘しました。特に、バイオ企業の利潤追求と特許競争により、身体利用が加速していく点に触れ、「人間の道具化や、富の多寡によって生命の差別化、選別化が進むとも考えられる」と述べました。
その上で、「宗教が医療の後追いをするのではなく、先回りして、教えに基づいて人間性を保障する医療とは何かを位置づけていくことが必要。さらに、医学によってもたらされる幸福と、宗教の説く救済観の整合性を見いだし、たとえ病気や障害があっても『救われている』という積極的な自己評価を打ち出していくことが大事」と訴えました。

(2008.06.13記載)