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2008年07月02日 札幌で「世界宗教者会議」開催。G8首脳への提言書を採択

WCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会主催による「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」(共催・WCRP国際委員会)が7月2、3の両日、札幌コンベンションセンターで開催され、G8首脳への提言書を採択して閉幕しました。会議には23の国と地域から正式代表100人を含む約300人の宗教者が参加。世界の諸課題の解決に向け、宗教が持つ智慧(ちえ)をもとに議論を重ねました。立正佼成会からWCRP日本委理事長の庭野日鑛会長はじめ庭野光祥次代会長、渡邊恭位理事長、川端健之外務部長、国富敬二時務部長、松本貢一青年本部長が出席しました。

同会議は、7日から開催されるG8北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に先立ち、『共有される安全保障』をテーマに、一人ひとりのいのちの尊厳が守られる真に平和な世界を実現するため、宗教者の視点から提言するものです。一昨年のサンクトペテルブルク・サミット(ロシア)、昨年のハイリゲンダム・サミット(ドイツ)に続いての開催となりました。
WCRP日本委はこれまで、政府首脳や主要政党との意見交換、高村正彦外務大臣、鴨下一郎環境大臣との学習会などを積み重ね、今回のサミットの議題や政府の取り組みを学ぶとともに、宗教者としての意見を政府に伝えてきました。

2日、開会式では、高橋はるみ北海道知事、上田文雄札幌市長、矢田部正巳日本宗教連盟理事長の歓迎あいさつに続き、ムハンマド・サイイド・タンターウィ・アズハル総長、ジャンルイ・ピエール・トーラン・バチカン諸宗教対話評議会議長、ヨナ・メッツガー・イスラエル主席ラビのメッセージが読み上げられました。
続いて、今会議の名誉議長を務める大谷光真浄土真宗本願寺派門主が基調講演。宗教は人間のいのちの根本を支えるものであり、社会に大きな影響を与えるとし、「諸宗教が調和を図ることは容易でないが、社会の現実問題を前にした時、宗教の違いを超え、協力する道が開かれる」と述べました。
このあと、全体会議がⅠからⅦまで行われ、宗教者の精神的・倫理的責務、共有される安全保障に向けた各宗教の取り組みなどについて討議が重ねられました。
全体会議Ⅱでは、川口順子参議院議員(元環境大臣、元外務大臣)が基調発題。地球温暖化の現状を詳説し、低炭素社会の必要性を強調したあと、「地球や生きとし生けるものを一体ととらえる世界観が今求められている。宗教家の皆さまには、目先のことにとらわれない広い視野から、未来を見据えた大きなビジョンを説いて頂きたい」と述べました。
全体会議Ⅴでは、今会議のサブテーマである「環境・気候変動」「ミレニアム開発目標」「核非武装」「暴力的紛争とテロリズム」について、それぞれ宗教者の発題を基に議論が深められました。
最終日には、具体的な課題に対する宗教者の責任やG8首脳への提言を盛り込んだ提言書「札幌からの呼びかけ」を採択。内容が読み上げられたあと、日本政府を代表して臨席した大野松茂内閣官房副長官に手渡されました。
閉会式で庭野理事長は、「それぞれが、自分の家庭や隣人、社会や政治のあり方を見つめ直し、その中に一つひとつ平和を築いていくことこそが、国や世界を変える出発点であり、原動力といえましょう。『提言書』の精神、行動のあり方を今後、それぞれの宗教者がまず自らの国や地域で浸透させていく努力を積み重ねてくださるよう願ってやみません」と総括しました。
なお、会期中、WCRP日本委青年部会による独自のプログラムも行われました。

(2008.07.11記載)