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2008年11月09日 中央学術研究所が「第9回学術研究大会」

中央学術研究所の「第9回学術研究大会」が11月9日、行学園とセレニティホールを会場に行われました。渡邊恭位理事長はじめ同研究所講師や客員研究員、所員、教団関係者ら147人が参加しました。 

第1部では行学園を会場に同研究所員ら9人が研究を発表。『布教研究--苦を訴える信者に対する主任の手どり』『現代社会における仏教の役割--現代の社会構造と個人の性格構造とのかかわり』など、仏教や宗教学、教団の布教組織の変遷といった、多岐にわたる学術研究が紹介されました。
セレニティホールで行われた第2部では、藤井正雄・大正大学名誉教授が『いのちの尊厳と仏教』と題して特別講演を行いました。藤井氏は冒頭、経済至上主義が台頭し、自己の欲望や利潤を追求することを是とする風潮の中で、宗教の影響力が相対的に弱まり、いのちの尊厳が脅かされていると指摘。その上で、同じ遺伝子情報を持つ生物を人為的に生み出す「クローン技術」や受精卵からES細胞(胚(はい)性幹細胞)をつくる先進技術など生命科学に言及し、「いのちのモノ化、パーツ化を推し進めている事態は無視できない」と述べました。
また、生命科学の分野では研究を進めていくために、いのちの始まりや終わりについて独自に規定を設けていることを紹介。一方、この点に関して、宗教界では各宗教・宗派で意見が異なり、見解を表さない組織もあることを指摘しました。目に見えない細胞レベルで進められる研究を前に、「宗教者はいのちという問題について、深く再考する必要がある」と述べました。

(2008.11.14記載)