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2009年01月16日 イスラエル・パレスチナ情勢にWCRP日本委、国際委、立正佼成会が和解呼びかける

武力衝突が続き、多くの犠牲者が出ているイスラエル・パレスチナ情勢を受け、このほどWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会は庭野日鑛理事長名で、即時停戦を呼びかける緊急アピールを発表しました。『中東における暴力の即時停止を』と題してまとめられ、1月10日、駐日イスラエル大使と駐日パレスチナ代表に送付されました。また、立正佼成会は、『イスラエル・パレスチナ紛争の解決を願って』と題して渡邊恭位理事長名のアピールを発表。WCRP国際委員会では5日、ウィリアム・ベンドレイ事務総長が声明文を発表し、即時停戦、負傷者などへの速やかな人道支援を訴えるとともに、宗教者が市民を善導する必要性を呼びかけました。

緊急アピール

WCRP日本委員会理事長 庭野 日鑛

仏教・神道・新宗教・キリスト教・イスラームの宗教指導者が集う私ども(財)世界宗教者平和会議日本委員会は、現在パレスチナ並びにイスラエルで起こっている非人道的暴力に対して深く憂慮し、強く遺憾の意を表明するとともに、傷を負われた方々、家族を失われた方々の痛みに思いを馳(は)せ、いのちを失った無辜(むこ)の犠牲者に心から哀悼の誠を捧(ささ)げます。
私たちは、あらゆる形態の暴力に反対します。特に現在激化しているガザ地区における市民への攻撃は即刻停止されるべきです。また、イスラエルの市民を標的にした攻撃も正当化できるものではありません。これらの行為は、暴力の悪循環を増幅させ、平和への道を妨げるものです。
武力による紛争解決という道が平和をもたらすとの考えは大きな誤りであり、武力によって平和が訪れることはありません。暴力はさらなる暴力をよび、人々の苦しみを増長し、平和を築くための努力を踏みにじります。
イスラエル、パレスチナの指導者は、国際社会の調停の努力を受け入れ、即時停戦を発動すべきです。そして、ガザ地区のパレスチナ市民に対し、必要な医療や人道援助物資が提供されなければなりません。医薬品・食糧などの人道援助物資がガザ地区へ安全に搬入され、必要としている人々の手に確実に届くことを強く要請します。
私たち日本委員会は、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの人々をはじめとする諸宗教者と連帯し、継続的な対話を通じた平和的な解決を強く求めます。しばしば忍耐や苦渋の妥協が求められるでしょうが、関係者の継続的な対話を通してのみ中東和平が実現すると信じます。宗教的にみれば、この世の全ての人々は、偉大なる存在とも申すべき神仏に生かされて生きる兄弟姉妹であります。世界宗教者平和会議は、他者の平和は自分自身の平和であると信じます。私たち日本委員会は、世界宗教者平和会議の世界的なネットワークと協力し、人道的支援と平和の構築へ向けた取り組みを実施していく所存です。

以上

立正佼成会理事長 渡邊 恭位

イスラエル・パレスチナの関係が、危機的な状況に陥っています。双方の軍事的衝突は、国連安全保障理事会をはじめとする諸機関、諸国が、即時停戦を呼びかけているにもかかわらず、一向に止む気配を見せていません。
立正佼成会は、これまで、WCRP(世界宗教者平和会議)などを通じ、イスラエル・パレスチナ問題に関心を寄せ、現地の諸宗教者との対話・交流を図ってまいりました。また立正佼成会一食(いちじき)平和基金、庭野平和財団、「ゆめポッケ」などの活動を通して、現地で和解のために献身している人々、不安のただ中にいる子どもたちの支援も続けてきました。そして、双方の人々が、本当は共生を切望しているという事実に触れ、問題解決への大きな可能性を感じ取っておりました。
この度の軍事的な衝突は、そうした現地の人々の願いと相反するものであり、政治的な対立、さまざまな思惑によってもたらされたものでありましょう。紛争の犠牲となった方々に哀悼の誠を捧げると共に、暴力的な行為が止み、対話による和解への道が見いだされていくよう強く願うものであります。
20世紀は、「戦争の世紀」「争いの世紀」と呼ばれました。世界の人々は、21世紀こそ「共生の世紀」にしようと固く誓い合いました。しかし、この瞬間にも、イスラエル・パレスチナ紛争をはじめ、アフリカの各地で、またアフガニスタン、チベット、スリランカ、フィリピン、イラクなどの多くの国々、地域で、争いが続いております。前世紀の「負の遺産」を払拭(ふっしょく)することはできていません。この現実は、人類の心のあり方、行動のあり方が、本質的には何も変わっていないことを、厳しく問い質しているように思えます。
仏教は、「人は本来、皆一つの乗り物の同乗者なのだから、心をおおらかに、互いを認め合い、協力し合おう」という"一乗"の精神を説いております。また「平和の心」とは、自らのいのちの尊さ、有り難さ、不思議に気づくことを通して、他の一切の生きとし生けるもののいのちを尊重することにあると教えています。
そのためには、怒りや恨みの心を超え、愛や慈悲、思いやりの心を培っていくことが不可欠であり、そうあって初めて、人々が真に調和することができると信ずるのであります。
宗教的に見るならば、世界の課題は、自分自身につながる課題であります。イスラエル・パレスチナ問題の解決に向け、立正佼成会は、WCRPの一員として、今後さらに世界の諸宗教者と手を携えてまいります。同時に、自らの心の中にも「争いの種」がないかを深く省み、一人ひとりが真に「平和の人」となることができるよう精進してまいります。
世界各地の紛争が一刻も早くなくなるよう、悲しみや絶望感に打ちひしがれている人が光を見いだしていけるよう、会員をあげて衷心からの祈りを捧げるものであります。

合掌

(2009.1.16記載)